ベルモントパーク競馬場、全面改修後の完成予想図を発表(アメリカ)【開催・運営】
ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事は3月4日、ベルモントパーク競馬場の全面改修の工程と最新情報を発表した。
NYRA(ニューヨーク競馬協会)はこのプロジェクトの構想に生命を吹き込むために一連の完成予想図を公開した。2026年第3四半期に完成予定の数年にわたる新ベルモントパーク建設プロジェクトは、建設関連で10億ドル(約1,500億円)の経済効果と3,700人分の雇用の創出が見込まれている。
2026年にベルモントで競馬が再開されれば、レース数が増えるだけでなく競馬以外の活動も実施され、年間1億5,500万ドル(約232億5,000万円)の経済効果が生み出される。そして州と地域に新たに年間1,000万ドル(約15億円)の税収をもたらすことになる。
ホークル知事の2023年の行政予算には、NYRAがベルモントパーク競馬場を近代化する提案が盛り込まれていた。2024年度予算案はその提案を承認し、NYRAはベルモントパークの敷地に世界クラスのスポーツ&娯楽施設を建設するために4億5,500万ドル(約682億5,000万円)の融資を受けることになった。
ホークル知事は、「ベルモントパークの再開発は、ニューヨークで最も歴史あるスポーツ施設への重要な投資です。新施設は競馬の通年開催をサポートし、ロングアイランド住民に何千もの新たな雇用を創出し、今後何世代にもわたって、象徴的なベルモントS(G1)を観戦する人々の満足度を高めることになるでしょう」と語った。
NYRAはこれに伴い、既存の125万平方フィート(約11.6ha)の構造物を、現代のスポーツファンが望むような近代的な設備やホスピタリティサービスを備えたおよそ27万5,000平方フィート(約2.6ha)の建物に一新させる。NYRAがニューヨーク州フランチャイズ監督委員会に正式に提出した資料にもあるように、既存のベルモントパークのグランドスタンド/クラブハウスは3月から7月にかけて取り壊される予定である。新施設は、2025年上旬に構造用コンクリートが設置されるとともに実像を現し始める。建物正面の外壁・屋根・天蓋型のひさしなど残りの部分は2025年のあいだに追加される予定である。
これまで伝えられてきたように、2024年ベルモントSフェスティバルは156年の歴史において初めてサラトガ競馬場で開催される。開催場の変更により、新ベルモントパークの建設工事は中断なく続けられる。ベルモントSデー(6月8日)のチケットは最速記録で完売したが、6月6日・7日・9日のチケットはまだ購入可能である。
NYRAは、新施設の全面オープンに先立つ2026年6月にベルモントSをベルモントパークに戻せるように建設計画を策定した。全面オープンは2026年9月の予定だ。2026年ブリーダーズカップ開催の舞台はまだ決定していないが、その頃には新ベルモントパークは完成しており、選出されればその大会を迎える準備は整っている。ブリーダーズカップ協会(BCL)はNYRAによる施設近代化に伴い、開催場のローテーションにベルモントパークを加えることを表明している。
NYRAの理事長兼CEOのデヴィッド・オルーク氏はこう語った。「ベルモントパークが一新することで、今後のニューヨーク州のサラブレッド競馬は守られ、何千もの雇用が創出されるでしょう。また、今後何十年にもわたってロングアイランドとこの地域の観光が促進されます。NYRAは、競馬施設の国際基準を打ち立てるような世界クラスの施設の建設に全力を尽くします。またベルモントを全面的に再創造するチャンスを与えてくれたホークル知事に感謝しています」。
NYRAは一般エリアの改修にとどまらず、2026年までに3つの新宿舎を建設することで現在進行中の厩舎地区の近代化キャンペーンを拡大することを約束している。また、NYRAは厩舎地区の生活の質を向上させるため、以下のような分野にさらなる投資を行う。
・ 敷地内の医療施設の改善
・ 最新のブルーライト防犯装置の導入
・ 娯楽室と馬場近くの食堂の改修
・ 敷地内のジム施設の改修
・ 新たな浸水被害防止戦略の導入
・ 信頼性の高いWi-Fiアクセスの確保
・ 厩舎地区全体のフェンスの交換
・ 駐輪場の建設で移動手段の多様化を促進
・ 調教助手へのワンルームマンション提供の実現性評価
有名設計事務所ポピュラス(Populous)がNYRAと共同で設計した新グランドスタンドは全体的な土地占有面積が縮小するので、ファンがくつろげる緑地が驚くほど増えるだろう。そして車両と歩行者がトンネルを通って45エーカー(約18.2ha)の馬場内に初めてアクセスできるようになるため、ベルモントパークはこれまで以上にファンと地元コミュニティにオープンスペースを提供することになる。米国では約40年ぶりとなる競馬場の土台からの建設工事により、新ベルモントパークはニューヨーク州のサラブレッド競馬が今後も繁栄していくことを映し出すと同時に、国際的に認知された競馬の中心地としての地位を強化することになる。
NYRA理事会のマーク・ホリデー会長はこう語った。「新ベルモントパークは完全に近代的な競馬・娯楽施設となります。そしてアスコット・ロンシャン・カラといった象徴的な競馬場と並ぶ国際的な舞台となるでしょう。熱心な競馬ファンを魅了すると同時に新世代のファンを呼び込む競馬場を設計・開発できることを光栄に思います。リーダーシップを発揮してくださったホークル知事のおかげで、新たなベルモントパークはニューヨークのランドマークとして、また最高級のサラブレッド競馬の不朽の魅力の象徴として、すぐに認知されるでしょう」。
新たなベルモントパークはこれまでと同じく5万人収容だが、座席・スイート・立見席のレイアウトは、季節ごとに移ろう入場者数に対応できるように調整される。防寒設備のある建物が追加され、新たな競走用馬場や人工馬場が敷設されることで、サラブレッド競馬を通年で開催するのにふさわしい競馬場となる。成立した2024年予算案の要求どおり、NYRAは州南部のすべての競走と調教を新たなベルモントパークに集約し、アケダクト競馬場の110エーカー(約44.5ha)の州所有の土地は開発のために利用可能となる。
NYRAは組合労働者と連携し、州認定のマイノリティや女性が経営する企業、負傷退役軍人が経営する企業と協力している。そして1960年代のベルモントの最後の改修以来、サラブレッド競馬と賭事の進化を的確に反映した建物を建設することを目指す。
By Office of New York Gov. Kathy Hochul
Edited Press Release
(1ドル=約150円)
(関連記事)海外競馬ニュース2023年No.48「2024年ベルモントSはサラトガ競馬場で施行(アメリカ)」
[bloodhorse.com 2024年3月4日「Timeline, Renderings of New Belmont Park Released」]