ゴリアット、キングジョージを制してドイツ血統を大きく後押し(ドイツ)【生産】
ゴリアット(牡4歳 父アドラーフルーク)は、7月27日(土)のキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1 アスコット)でモンジューを彷彿とさせる楽勝を果たし、ドイツ血統を大きく後押しした。
威厳あるモンズーンや、ゴリアットのファミリー(牝系)に属する馬は、ゲオルク・フォン・ウルマン男爵の名義でこの有名な青と黄の勝負服を背負って殊勲をあげてきた。ゴリアット(フランシス-アンリ・グラファール厩舎)はフィリップ・フォン・ウルマン男爵に名義が変わってから初めてのG1馬であり、一族のシェレンダーハン牧場が育んだ最も多産で影響力のある2つの血統を代表している。
2021年に凱旋門賞(G1)を制し、2022年にこのレースで2着となったトルカータータッソもゴリアットと同じく父がアドラーフルークだ。その死が惜しまれたアドラーフルーク(父インザウイングス)はシェレンダーハン牧場の頭文字Aのファミリーの出身であり、この牝系からはガリレオやシーザスターズなどのチャンピオンが出ている。アドラーフルークは、過去40年間でドイツ最大の影響力をもつ繫殖牝馬アレグレッタの全妹アルヤ(父ロンバード 母Anatevka)の血を引いている。
ゴリアットは6月22日のハードウィックS(G2 ロイヤルアスコット開催)ではアイルオブジュラの2着に入った。5月5日にはエドゥヴィル賞(G3 ロンシャン)で優勝しており、ちょうど1年前にはクレールフォンテーヌ大賞(L)でブラックタイプ初勝利を達成していた。
フィリップ・フォン・ウルマン男爵はスカイスポーツに対しこう語った。「これまで一族が所有した中でも種牡馬アドラーフルークは大のお気に入りでした。だからゴリアットのこともずっと気にかけてきたのです。19年前にシロッコ(父モンズーン)でBCターフ(G1)を制してくれたクリストフ・スミヨン騎手が今日また一族の勝負服を着て快挙を成し遂げてくれたのは素晴らしいことです」。
「ロンシャンでのG3勝利のあと、スミヨン騎手が手紙をくれたのを覚えています。彼はゴリアットにすごく期待していて、G1に出走するようなことがあれば乗るよと伝えてきました。この馬は私にとって初めてのG1出走馬で、キングジョージを勝つのはこの上ない偉業です」。
通算成績9戦5勝のゴリアットは、ブリンゴステーブルが所有してドイツで5勝をあげたガミーヌ(ボフミル・ネドロステク厩舎)の全弟である。
ガミーヌとゴリアットはグアッシュの第1仔と第2仔である。グアッシュ(父シャマルダル)はホッペガルテン牝馬賞の勝馬であり、ゲルリンク賞(G2)優勝馬グアルディニ(父ダラカニ)、リステッド勝馬ギゾー(父はアーバンシーの近親テルテュリアン)の半妹である。
グアッシュの母グアンタナ(父ダイナフォーマー)はリステッド2勝馬で、ドイツのG1・3勝馬ギニョール(父ケープクロス)とダルマイヤー大賞(G1)優勝馬ジュリアーニ(父テルテュリアン)の半姉でもある。ジュリアーニは種牡馬として、バイエルン大賞(G1)優勝馬でトルカータータッソの半弟チュネスを送り出している。
彼ら(グアンタナ、ギニョール、ジュリアーニ)の母グアダルーペは伊オークス(G1)優勝馬で、ヨークシャーオークス(G1)と独オークス(G1)で3着内に入っており、G1馬でクールモアの障害部門の種牡馬ゲッタウェイの全姉である。2頭ともシェレンダーハンの偉大な種牡馬モンズーンの産駒で、ゴリアットと同じ青と黄の勝負服を背負っていた。
グアッシュはほかにも以下の3頭の仔を送り出している。
・ 3歳牝馬ギャラクシー(父クロスオブスターズ)
...デュッセルドルフのサッシャ・スムルチェック調教師に管理されている。
・ 2歳牝馬ゴーフライング(父アドラーフルーク)
...ゴリアットの全妹。シェレンダーハン牧場が主取り。ペーター・シールゲン調教師に管理されている。
・ 1歳牝馬グランドメルシー(父マグナガルシア)
...シェレンダーハン牧場が主取り。
昨年12月のアルカナ繁殖セールで、グアッシュはブラックビアードの仔を受胎した状態で20万ユーロ(約3,200万円)で購買された。購買者はアグロレクシカ・インターナショナル・トレーディング社である。
By Aisling Crowe
(1ユーロ=約160円)
[Racing Post 2024年7月27日「Goliath takes down the giants in remarkable King George triumph for German breeding」]