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2024年09月20日  - No.9 - 5

サー・マイケル・スタウト調教師、今年いっぱいで引退(イギリス)【その他】


 「素晴らしく楽しい旅」というのが、サー・マイケル・スタウト調教師が9月10日(火)に長くて華麗な調教生活に思いを馳せて発した言葉である。そのキャリアは年明けを迎える前に終わろうとしている。

 78歳のスタウト調教師は数多くのチャンピオンを手掛けてきた。それはダービー馬6頭のうちの一頭、比類なきシャーガーや、シャリーフダンサー、ジルザル、ハービンジャー、ワークフォースなどである。リーディングトレーナーに10回輝き、1985年から2022年のあいだにG1馬を送り出せなかったのはわずか4シーズンだった。

 PA通信への声明で、スタウト調教師はこう語っている。「シーズン終了後に調教師を引退することにしました。長年にわたって支えてくれた馬主とスタッフに感謝したいと思います。素晴らしく楽しい旅でした」。

 スタウト調教師は現代の英国競馬の名馬を育てただけではなく、現在調教師となっているジェームズ・ファンショーやオーウェン・バローズのキャリア形成にも貢献した。また故ウォルター・スウィンバーン、キーレン・ファロン、ライアン・ムーア、リチャード・キングスコートといった名ジョッキーたちとも緊密に連携してきた。

 現在助手を務めるジェームズ・サヴェッジ氏は9月10日(火)、レスター競馬場でレーシングTVに対して、調教場フリーメイソンロッジを拠点とする戦後最高の名伯楽のもとで働くことがどういうことかを語った。

 「この偉大な人物に贈られるいかなる賛辞も、私たちが彼に抱いている思いや、彼が競馬界で成し遂げたことからすると、不十分だと思います」。

 「彼はいつも管理馬の能力を高く評価し、素晴らしい馬主やスタッフに感謝してきました。良いことには終わりがありますね。彼は、疑問や問題をもつ人のためにいつも時間を割いてきた人格者です」。

 「私たち全員に寄り添ってくれました。彼が長くて幸せな引退生活を送れるように願いましょう。でもまだシーズンは終わっていません。彼は昨日、挑み続け、基準を高く設定し続け、残りのシーズンも頑張るようにと言いました」。

 元助手のジェームズ・ファンショー調教師はかつての上司に敬意を表し、自ら厩舎を開業したときに受けた援助を強調した。「サー・マイケルのもとで7年間助手を務め、素晴らしい時間を過ごしました。フリーメイソンロッジとビーチハーストでたくさんのことを学べて本当に感謝しています。調教師への道を開いてくれましたし、開業したときもサポートしてくれました」。

 「働くうえで良き仲間であり、いまでも親友同士です。数頭の素晴らしい馬を一緒に手掛けて、当時ライバルだったヘンリー・セシル調教師とハラハラするような競争を繰り広げていました」。

 オーウェン・バローズ調教師もまた、スタウト調教師の助手を務めながら仕事を学んだひとりであり、その道のりでどれほど師匠が助けてくれたかを信じて疑わず、こう語った。

 「サー・マイケルとハムダン殿下がいなければ、今の私はなかったでしょう」。

 「悲しい日ですが、サー・マイケルにはたくさんの恩があります。彼のもとで働いていたときに、ハムダン殿下とつながりができ、それが開業するきっかけとなりました。助手時代の終盤には多くの責任ある仕事を任せてくれました。そのおかげで、ひとりで調教活動を始める自信がつきました」。

 テッド・ダーカン元騎手は長年にわたりスタウト厩舎の攻馬手チームで不可欠な存在であり、ケンタッキーで開催中のキーンランド1歳セールの会場で、そこでの日々を懐かしく思い出した。

 「私にとって近年この厩舎に関わることができたのは光栄であり喜びでもありました。楽しく興味深い場所でした。ささやかながら関われたことで良い思い出しかありません」。

 ハービンジャーはキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1 アスコット)でライバルを撃退してレーティング135を獲得し、2010年のワールドベストレースホースに輝いた。スタウト調教師が50年以上にわたって手掛けた馬の中ではシャーガーだけがこのレーティングを上回る。

 その日ハービンジャーに騎乗したオリヴィエ・ペリエ氏は当時をこう振り返る。「正直なところ、サー・マイケルが騎乗を依頼してくるたびにすごく嬉しく思っていました。かなり若いころから私を起用してくれて、一緒に驚異的な勝利を収めました」。

 「もちろん、ハービンジャーがキングジョージを制したのは素晴らしいことでした。ただ、ハードウィックS(G2)をエリザベス女王のダートマスで制したことがおそらく私にとってロイヤルアスコットでの最高の日だったと思います」。

 ペリエ氏は、「英国の一流調教師はだいたいそうですが、サー・マイケルは管理馬を熟知していて、ビッグレースでピークの状態に仕上げてくれるとつねに確信していました。いつも楽しく愉快なことでしたね」と付け加えた。

 スタウト調教師は1972年に初勝利を挙げ、6年後にフェアサリニア(Fair Salinia)が英オークスを制してクラシック初優勝を果たした。1987年にもユナイト(Unite)で英オークスを制している。

 英国のクラシック競走を16勝しており、直近では2022年英ダービーをデザートクラウンで制している。またアイルランドのクラシック競走は11勝しており、世界最高賞金額のいくつかのレースを奪取している。

 スタウト調教師はエティエンヌジェラールで1977年ジャージーSを制したのを皮切りに、ロイヤルアスコット開催で多くの勝利を達成している。エイダン・オブライエン調教師に次いで82勝を成し遂げており、6回にわたりこの開催のリーディングトレーナーに輝いている。
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By David Milnes, Scott Burton and John Randall

[Racing Post 2024年9月10日「'Any plaudit given to the great man would not be good enough' - Sir Michael Stoute to stop training at the end of the year」「The remarkable facts and figures behind Sir Michael Stoute's brilliant career」]


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