アジア競馬連盟、豪ニューサウスウェールズ州の17レース格上げを却下(オーストラリア)【開催・運営】
アジア競馬連盟(ARF)は、議論を呼んでいたオーストラリアのニューサウスウェールズ州で開催される17レースのブラックタイプ競走への格上げ案を却下し、レーシング・ニューサウスウェールズ(RNSW)とレーシングオーストラリア(RA)に痛烈な反撃を行った。
しかし、これらのレースのほとんどは、すでに新しい格付けのもとで競走が行われていることから、今回の却下は、当該レースを走った馬やその近親馬の価値に対する疑念や勝った馬に課される負担重量などの多くの混乱が残っていることを意味する。
一部の競馬産業関係者は、10月の騒動が勃発したときと比べれば、RAとRNSWがブラックタイプ競走に関する話し合いに前向きになっているように見えるため、最近は勇気づけられているようだ。
生産者たちは、国際的に認められた適切な豪州パターン委員会の復活につながることを望んでいる。パターン委員会は6年間存在せず、昨年、表向きは「豪州ブラックタイプガイドライン」と名付けられたRAの新体制に取って代わられた。
しかし、17レースのうち15レースはすでに施行済みであり、RAがARFの裁定を受け入れてこれらのレースを以前の格付に戻したとしても、まだ複雑な問題が残っている。
その中には、事実とは異なり「ブラックタイプ」競走を勝った馬としてレーティングが不当につり上げられた可能性があることで、レースの格を上げたり下げたりする際にどのように評価したらよいのかという問題も含まれる。
今のところ、豪州・NZの業界関係者は、ピーター・ヴランディス率いるRNSWとRAがARFの決定にどう対応するかを見守ることになるだろう。
ANZブラッドストックニュースによれば、この決定は先週の2月21日(金)に下された。ARFの執行委員会は、リステッドからG2に一方的に格上げされた17レースの格上げを承知しないとするアジアパターン委員会(APC)の勧告を承認したのだ。 なお、APCは昨年春、ジ・エベレスト(G1、1200m)とオールスターマイル(G1、1600m)のG1への格上げを承認しているが、今回の裁定による影響はない。
どのような理由でこの17レースが却下されたのか、すぐには明らかにされなかったが、ある業界関係者によると、レースレーティングの評価というよりも、オーストラリアには適切なパターン委員会が存在しないことが原因である可能性が高いという。
この決定により、重要な国際カタログ基準である出版物 「ブルーブック」では、格上は未承認のままとなる。この出版物で公示されていないため、南半球最大の血統情報提供者であるアリオンはすでにこの格上げを無視しており、そのため豪州・NZの今年の1歳馬セールカタログには反映されていない。
ニューサウスウェールズ州、ひいてはオーストラリアのブラックタイプ問題は、世界中のヘッドラインを飾り、該当レース勝ち馬および4着までに入った馬の関係者や生産者、そして世界中のカタログに掲載された近親の馬に影響を及ぼしている。
特に近親の繁殖牝馬のオーナーは、1歳馬セールで自分の所有馬がブラックタイプの勝馬の近親であることを宣伝できず、影響を受けている。
混乱は収まっておらず、すでに起こってしまった事態の収拾という点で不吉な様相を呈している。業界関係者の中には、影響を受けた関係者からオーストラリアの管理団体に対して訴訟を起こされる可能性を指摘する者もいる。
ANZの取材に応じたある業界関係者は、RAがAPCに17レースのリストを提出したことに驚きを隠せない様子だった。RAは15レースを既に実施していて新しい格付けで走らせるという独自路線を貫くことを示唆していたからだ。
また、RNSWと対立しているはずのレーシング・ビクトリアが、宿敵のリスト提出に同意したに違いないと指摘する者もいた。ビクトリア州はNSW州とともに、RAで拒否権を持つ2つの州のうちの1つだ。
一方、生産界の中には、APCおよびARFがNSW州のリストを却下したことをまずは歓迎し、この問題にまつわる混乱を一掃するきっかけになることを期待するとの声もあった。
オスホース(Aushorse)の会長でウィデンスタッド(Widden Stud)のオーナーであるアントニー・トンプソン氏はANZの取材に対し、「これが適切なパターン委員会の再編に動くきっかけになればと願っています」と語った。
「関係者全員が、この問題を解決したいという意志を持っています。すぐにでも実現したいです。これまで6年間以上、パターン委員会が存在せず、国際的な期待や基準に沿ってレースが格上げされたり格下げされたりしていないのは、確かに残念なことです」。
トンプソン氏は、これまでのところ購買者たちはブラックタイプ論争を冷静に受け止め、偽りの格上げを1歳馬の査定に織り込んでいるように見えるが、この騒動から多くの問題が生じていると語った。
「多くの混乱があります。例えば、ステークスレースと思われていたレースで勝った馬が、次走で負担重量を多く背負うことになった場合などです。商業的な意味合いもあります。もちろん、ステークスの勝ち馬かそうでないかで、馬の価値は大きく変わります」
「現段階で、カタログは(該当する17レースを)ステークスレースとして表示していません。ステークス勝ち馬の近親馬だと勘違いして購入してしまう人はいないと思われますが、非常に曖昧な事項であり、早急に明確にして、整理される必要があります。ニューゲート・スタリオン・シンジケートのノースイングランド(North England)を見てください。彼は2歳ステークスレースを勝っている、いやそれともステークスレースではなかったのか?この勝利で、今後のレースの負担重量が増加するのか?」
「そのすべてが馬の価値と種牡馬としてキャリアに大きな違いをもたらします。もしステークス勝ちとみなされないのであれば、ステークス勝ちによる負担重量増で他の2歳戦に臨むのは避けたいでしょう。この馬は、いかに混乱を招くかを示す好例です」
サラブレッド・ブリーダーズ・ニューサウスウェールズのハミッシュ・エスプリン会長もARFの決定を歓迎した。
「オーストラリア、アジア、そして世界で長年実施されているパターン・ルールに従って、レースを格上げしたり格下げしたりするプロセスが適切に実施されるのは当然のことです」と彼はANZに語った。
「NSWという1つの管轄区が、RAの他のメンバーの合意なしに、自分たちの選んだレースを勝手に格上げし、事実上、自分たちの管轄区でブラックタイプのレースを行うというのは、とにかく馬鹿げていました。それが間違ったプロセスであると指摘されたのなら、それは良いことです」
By Trevor Marshallsea
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[Racing Post 2025年2月28日
「Asian Racing Federation rejects New South Wales's controversial list of 17 black-type race upgrades in stinging rebuke」]