2024年の予後不良事故率、過去最低を更新(アメリカ)【開催・運営】
米国ジョッキークラブ(The Jockey Club: TJC)の事故馬データベース(Equine Injury Database:EID)で公開された初期データの分析によれば、2024年の米国内での競走における馬の予後不良事故率は出走馬1,000頭あたり1.11件で、2009年にEIDが統計を開始して以来過去最低となった。数字が1.5を下回るのは5年連続で、2023年からは15.9%の減少。2009年に統計が発表されてからは44.5%の減少を見せている。
EIDの分析は、ユアン・ベネット博士(グラスゴー大学)と、EIDの立ち上げ当初からコンサルティングを行ってきたティム・パーキン教授(ブリストル大学)が担当した。
「継続して数字が改善されているのは注目に値し、たいへん喜ばしいことです」と、パーキン教授はコメントした。「EIDの設立もさることながら、多くの関係者の懸命な努力によって予後不良事故のリスクがこれほど大幅に改善されていることは、この業界に携わるすべての人々の功績だと言えます」。
2024年のデータによれば、EIDに参加する競馬場における平地競走出走馬の99.89%が、予後不良となることなくレースを終えている。
2024年における基本統計
*数字は出走馬1,000頭あたりの予後不良件数
・馬齢別
2歳馬:0.9
3歳馬:0.94
4歳以上:1.21
・競走距離別
6ハロン(1,200m)未満:1.20
6-8ハロン(1,200-1,600m):1.12
8ハロン超:0.98
・馬場別
ダート:1.18
芝:0.88
人工素材:1.02
2009年以降のEIDの統計は、TJCウェブサイト上で公開されている(https://jockeyclub.com/pdfs/eid/eid_16_year_tables.pdf)。
2012年3月以降、各競馬場はEIDの統計を自主的にTJCウェブサイトで公開できるようになった。統計を公表している競馬場では、出走1,000頭あたりの予後不良事故が0.88件であるのに対し、公表していない競馬場では1.27件となっている。
また、HISA(競馬の公正確保と安全に関する統括機関)に加盟していない米国内の競馬場の予後不良事故率は、出走1,000頭あたり1.76件だった。2月下旬に公開されたHISAのプレスリリースは、HISAのルールを採用する競馬場での2024年の競走関連死亡事故率が1,000頭あたり0.90件と報告しており、これはEIDのデータと一致している。HISAは規制部門による審査後に死亡事故率を報告している。
EID統計は、レース開催日から72時間以内に死亡に至った事故に基づいたものである。統計はサラブレッドの公式レースのみを対象としており、障害レースは除外されている。EIDの簡易統計は、報告の適時性などの事由によって変更されることがある。EIDに入力されたすべてのデータは、完全かつ正確に報告されるよう、多段階の品質管理プロセスを経ている。
EIDに参加している競馬場のリストと、自主的に結果を公表している競馬場の詳細な統計は、オンラインで閲覧できる(https://jockeyclub.com/default.asp?section=Advocacy&area=11)。
2024年は、米国における全サラブレッド出走馬の約99%がEIDに含まれていた。
EIDは、グレイソン-ジョッキークラブ研究財団(Grayson-Jockey Club Research Foundation)が主催する第1回競走馬福祉・安全サミット(Welfare and Safety of the Racehorse Summit)で考案され、2008年7月にTJCによって開始された。標準化されたフォーマットを使用することで故障の頻度、種類、結果を特定し、有効な統計の作成や故障リスクが高い馬の指標生成を行うとともに、安全性の向上と故障の予防を目的とした研究のデータソースとしても利用されている。
Edited Press Release
The Jockey Club News Service
[bloodhorse.com 2025年3月12日「Racing Fatalities Drop to Lowest Recorded Level」]