英国賭事委員会を巡る最近の動き(イギリス)【開催・運営】
グロスターシャー州での出来事(チェルトナムフェスティバル開催)に注目していた人々は見逃したかもしれないが、キア・スターマー首相は先週、規制緩和についての公約に再度言及した。同首相は、政府が長きにわたって規制当局の後ろに隠れて「意思決定を先延ばしにし、規制を肥大化させ、この国の有意義な成長を妨げてきた」と述べた。
ただ、この件の批判派は落胆するかもしれないが、賭事委員会については、新たな準政府機関に対するこの改革の一環で消滅する可能性は低そうだ。また、クリスマス前に政府が諸々の規制当局に対して今年中に実施可能な成長促進策を特定するよう要請した際も、賭事委員会は対象とされていなかった。
更に実際には、規制当局の削減を約束している一方で、政府は前政権の計画を引き継いで、新たなサッカー規制当局を導入しようとしているのだ。
サッカー規制法案は、先週、貴族院で審議され、報告段階に達した。審議された修正案の中には、賭事とサッカーに関するものが幾つか含まれており、両者の関係について貴族院が批判的であったことは驚くにあたらない。
修正案を提出した自由民主党の貴族院議員アディントン卿は、「競馬などの特定のスポーツは賭事に依存する傾向がある」と認めつつも、テレビにおける賭事広告は「過剰」といえると主張した。
「今回の修正案では、サッカーは賭事広告を排除できる分野のひとつであるという提案をしています」と彼は述べ、「サッカーで賭事を排除することはできないのでしょうか?」と付け加えた。
この修正案は、討論で発言した他の議員のうち、その目的に共感する議員からさえも大きな支持を得ることはできなかった。賭事担当大臣トウィクロス女男爵のコメントは、文化・メディア・スポーツ省の現チームが、一部で考えられているほど賭事問題に強硬ではないということをさらに明確にした。
トウィクロス女男爵は、賭事広告やスポンサーシップから多くのサッカークラブに提供される「必要不可欠な収益」を認識することが重要であると述べた。さらに、「規制当局が業界の専権事項に踏み込み、FA(イングランドサッカー協会)やこの政策分野を管轄する他の規制当局などの領域に立ち入るような規制の拡大には慎重であるべきです」と付け加えた。
ところで賭事委員会関連の話題になるが、彼らはギャンブル依存症の評価で参照にされたことのある英国賭事調査(GSGB)の統計使用に関する指針について、以前の約束通り更新を行っている。おそらく、統計をどのように使用するか、使用しないのかに関する以前の指針が、政治家やメディア、賭事改革を求める一部の活動家によって恒常的に無視されていたため、その必要性を感じたのだろう。
賭事委員会から連絡を受けた一部の人は行動を改めたり訂正を加えたりしたが、そうしなかった人もいた。残念ながら、この変更によって混乱が解消されたわけではなく、以前のガイドラインに従って英国賭事調査のデータを悪用していた人々に対して、さらに自由裁量を与えたように見える。
賭事委員会はガイダンスの更新を発表すらしていない。先週発行された最新の電子ニュースレターには、変更に関する言及は一切含まれておらず、ガイダンスが更新されると述べたアンドリュー・ローズ最高経営責任者(CEO)の賭事・ゲーミング協議会(Betting and Gaming Council: BGC)年次総会でのスピーチへのリンクが貼られていた。
ローズ氏は、賭事委員会は「一つ一つの発言や誰かを怒らせるような議論のすべてを取り締まるつもりはありません」と述べており、更新ガイドラインは、賭事委員会の取り締まりを行う必要性を減らすことで、賭事委員会の一助にしようとしているようだ。
レグルスパートナーズのアナリストたちは先週、新しいガイドラインの問題点を指摘した。例えば、ガイドラインでは、GSGBは「方法論が異なるため、以前の賭事や健康に関する調査の結果と直接比較する目的で使用すべきではない」と述べている。
しかし、その後にこう続いているのだ。「英国ギャンブル調査では、"成人の2.5%がギャンブル等依存症スクリーニングテスト(PGSI)スコア8以上であると推定されている。これは、異なる方法論を用いた他の調査による推定値よりも高い"と言うことができる」。レグルスパートナーズが指摘しているように、これは最初の指針を損なうものである。
これまでの指針では、例えば、英国における賭事問題に苦しむ人々の数を推定するためにGSGBを使用すべきではないと警告していた。しかし、今回の指針では「技術的には」可能であるとしながらも、過大推定のリスクがあるため、賭事委員会は「現在、これを行わないよう助言している」と述べ、さらに問題を混乱させている。
賭事委員会がGSGBに含まれる統計の信頼性に関する警告に耳を傾けていれば、このような事態は避けられていたはずである。しかし、賭事委員会は調査に多大な労力を費やしており、正しい調査結果を得るために中断した場合に生じる評判低下のリスクを嫌っているように見える。
これは、賭事委員会の他のプロジェクト、特にアフォーダビリティチェック(経済力チェック)の施行にとって良い兆候ではない。
By Bill Barber
[Racing Post 2025年3月17日
「Starmer signals a bonfire of the quangos - but the Gambling Commission is set to avoid going up in smoke」]