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海外競馬情報
2025年04月10日  - No.14 - 2

競合する開催日程を解決するための中継番組の制作(イギリス)【その他】


 今年のドバイワールドカップ開催は、例年より1週間遅い実施となる。その大きな理由の1つは、イスラム教の聖なる月であるラマダン(断食月)の日程にあり、イード・アル=フィトル(ラマダン明けの大祭)が3月30日(日)の夕方に行われることによる。

 メイダン競馬場がその最大の開催を例年より遅い時期に実施することと、グランドナショナル開催がチェルトナムフェスティバルの4週間後ではなく3週間後に実施されることが重なった。中継番組制作会社は4月5日(土)に行われるこの2つの大きな開催がぶつかり合うという異例の事態に対応するため、想像力豊かな解決策を模索している。

 元UAEチャンピオン調教師で、現在はドバイレーシングクラブ(DRC)の競馬運営・国際関係マネージャーであるアーワン・チャーピー氏は、メイダン競馬場でのレース発走時刻と、世界で最も有名な障害競走であるグランドナショナルの発走時刻が完全にぶつかり合うのを避け、むしろ補完し合うものになるように率先して努力した。

 2年前に導入された安全対策により、グランドナショナルは今では午後4時に実施されている。そのため、DRCはドバイゴールデンシャヒーン(G1)を午後3時40分の発走、ドバイターフ(G1)を午後4時15分の発走(ともに英国夏時間)に設定した。

 しかしそれでは、香港のスターホース、ロマンチックウォリアーを目玉とする総賞金500万ドル(約7億2,500万円)のドバイターフの出走馬が同じタイミングでパドックに入るため、メイダン競馬場の大型スクリーンでエイントリー競馬場の様子を放映するには十分な時間がない。

 競馬場メディアグループ(RMG)とその指定代理店であるHBAメディアは、エイントリー競馬場のオーナーである英ジョッキークラブとドバイワールドカップの主催者であるDRCに代わって、賭事を伴わないグローバルなテレビ番組を制作している。

 RMGは海外の放送局に、エイントリー競馬場かメイダン競馬場のどちらか一方に特化した国際放送番組の選択肢を提供しているが、2時間半の 「両開催の良い所取り」オプションが世界中の放送局の心を捉えられていると報告している。

 「4月5日は両開催のメインイベントが90分以内で行われるため、世界中の視聴者にとって、競馬のカレンダーの中で最も華やかで対照的な2つの競馬開催を楽しむことができるまたとないチャンスです」とRMGのコミュニケーション・国際配信ディレクター、セブ・ヴァンス氏は語った。

 「放送局には、ITVが制作するエイントリー競馬場の国際放送番組とRMGが制作するメイダン競馬場の国際放送番組のどちらかを選んでもらうだけでなく、HBAメディアが制作する「クラウンジュエルレーシング」として「両開催の良い所」を凝縮した放映データの提供を押し進めようとしています。グランドナショナルとドバイワールドカップ(G1)、さらにドバイシーマクラシック(G1)も紹介する2時間半の番組で、英国夏時間で午後3時半から午後6時まで放送する予定です」。

 ヴァンス氏は、次のように語った。「この二重放送が放送局の想像力を掻き立てるものであることを大変嬉しく思います。30以上の放送局がエイントリー競馬場とドバイを中継する予定で、そのうちの半数が クラウンジュエルズレーシングの「両開催の良い所取り」の番組を選択しています。その中には、航空会社やクルーズラインでライブ中継を提供するスポート24(Sport 24)、インドで1億6,000万人のユーザーを持つファンコード(Fancode)、ラテンアメリカとカリブ海地域のESPN、カナダで初の放送を行うスポーツネット(SportsNet)、アフリカのスーパースポート(SuperSport)、ヨーロッパのヴィアプレイ(Viaplay)が含まれ、ヴィアプレイでは番組視聴者のためにオランダ語に吹き替えられる予定です」。

 「さらに、ドバイレーシングチャンネルとドバイスポーツがメイダン競馬場とエイントリー競馬場の完全中継をそれぞれ行い、アメリカのフォックスポーツがドバイのライブ中継とエイントリーの録画中継を行い、CNNインターナショナルとトランスワールドスポーツはワールドニュースや雑誌の番組で両レースを取り上げます。日本のグリーンチャンネルはドバイからの完全中継を行い、グランドナショナルのドキュメンタリーを撮影するためにエイントリーにも取材に来ます」。

 これまでドバイワールドカップの開催時期は、アメリカを拠点とする調教師や騎手にとっては、フロリダダービー(G1)やアーカンソーダービー(G1)とぶつかっていたが、今年はさらに問題が多い。

 ケンタッキーダービーの3大トライアル競走である、ブルーグラスS(G1)、サンタアニタダービー(G1)、そしてウッドメモリアルS(G1)は、3レースとも全て4月5日に行われる。いずれのレースの優勝馬にも、アメリカ3冠レースの初戦ケンタッキーダービー(G1)への優先出走権が与えられる。

 ドバイワールドカップ開催日は、ワールドプールの馬券購入者にとって超大型のダブルヘッダーとなる。なぜなら、豪州ランドウィック競馬場のドンカスターマイル(G1)から、メイダン競馬場でのドバイワールドカップがバトンを受け取ることになるからである。なお、ドンカスターマイルは、ランドウィック競馬場において2週連続で土曜日に開催されるザ・チャンピオンシップス開催の第1日目である(訳注:4月12日には同じくランドウィック競馬場で実施されるクイーンエリザベスS(G1)もワールドプールで発売される)。

By Scott Burton

(1ドル=約145円)

[Racing Post 2025年3月26日
「An unusual clash of dates: how the racing world is embracing the Dubai World Cup and Randox Grand National crossover」]


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