レースを分割するために、恣意的に所有馬を登録させたとの非難を否定(イギリス)【開催・運営】
競馬場所有グループであるアリーナレーシング社(Arc)は、レースが確実に分割されるために子会社が所有する馬を出馬投票させ、追加のメディア放映権収入を得ているという非難を断固として否定した。
先週、シンジケートマネージャーであり元馬主協会役員のサム・ホスキンス氏は、Arcの子会社アンフィシアターレーシングが「レースを分割するために」ブライトン競馬場のレースに出馬投票し、その後出走を回避したようだとXに投稿した。
ホスキンス氏の投稿の対象となったロヒラ(Rohilla)という馬は、4月以降アンフィシアターレーシングの所有馬として出走した10頭のうちの1頭で、その他の馬たちは以前Arcが運営するサウスウェルレーシングクラブの名義で出走していた。これら10頭の馬は全て、Arcの運営するサウスウェル競馬場とウルヴァーハンプトン競馬場で厩舎を構えるスコット・ディクソン調教師の管理下にある。
Arcの広報担当者によれば、同社が自社の所有馬を出走されることで競馬番組をサポートしているものの、どの馬がどこで走るかまでは管理していないという。
広報担当者は次のように述べた。「当社は多くの馬を所有していますが、その大半はサウスウェル競馬場かウルヴァーハンプトン競馬場のいずれかで調教されています。これらの馬は、アークレーシングクラブとしての利益をもたらす以外にも、当社の所有する競馬場の競馬番組や主要競走の出走頭数をサポートすることを意図して購入されているのは確かです。これはまだ始まったばかりの戦略で、今後1~2年で拡大していく予定です」
「所有権をサウスウェルまたはウルヴァーハンプトンレーシングクラブから完全子会社のアンフィシアターレーシングに変更したのは、純粋に所有に関連しての事務手続きが煩雑だからです。レーシングデジタルによって手続きが簡略化されれば、再度所有権を戻すことも検討されるでしょう」
「これらの馬に関係する調教師は誰も、どのレースに出走させるべきかを指示されたことはありませんし、今後も指示されることはありません。私たちは、競馬場年間会員向けのユニークな特典として成功しているアークレーシングクラブを今後も推し進めていきます」
「私たちの所有馬によってレースの出走頭数を下支えし、ときにレースが分割されるという点に関しては、賦課金収入を増加させ、Arcを含む出走馬の関係者へ還元するという形で業界全体にプラスの経済的利益をもたらしていることを実証しています」。
本紙の質問に対し、ディクソン調教師は次のように述べた。「私はこれまでにいつ、どこで、どのように馬を出走させるか、あるいは登録するかについてArcの誰からも指示を受けたことはありません。レースに勝つ最大のチャンスがあると私が思うところに、私自身の判断で決めているだけです」。
アンフィシアターレーシングは2022年に設立され、その支配株主としてArcが法人登録されている。最新の2023年12月期決算では、887,295ポンド(約1億6,850万円)の損失となっている。
今年はこれまでに8頭がアンフィシアターレーシングまたはサウスウェルレーシングクラブの所有馬として、分割されたレースに出走した。
合計27の分割されたレースに出走し、うち20回はその開催場(全てArc所有の競馬場)で施行できる1開催日の最大レース数を施行した(3月31日までのオールウェザーシーズンの最大レース数は9レース、それ以降の最大レース数は8レース)。また、分割されなかったレースにも述べ29回出走している。
レースの分割が許可されるのは、18頭以上が出馬投票した場合、または芝を使用しないオールウェザーシーズンでは16頭以上が出馬投票した場合である。
レースが分割されるごとに、開催競馬場は賞金や開催運営費などに加え、ブックメーカーからの放映権料を通じた追加収入を得ることができる。レースが一度分割されると、出走回避馬がいた場合でも分割されたままとなる。
競馬場協会は異議を唱えているが、以前発表された数字では、競馬場は1レースあたり10,000~12,000ポンド(約190万~228万円)の放映権料を受け取るとされている。そのため、今年出走した馬たちはArcに270,000~324,000ポンド(約5,130~6,150万円)の追加収入をもたらした可能性がある。
By Peter Scargill
(1ポンド=約190円)
[Racing Post 2025年4月16日
「Arc robustly denies accusations of declaring horses owned by subsidiary company in order to divide races」]