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海外競馬情報
2025年02月13日  - No.6 - 2

ベルモントパークが北米屈指の競馬場に生まれ変わる(アメリカ)【開催・運営】


 数年にわたる話し合いと期待を経て、ベルモントパーク競馬場は再び競馬場としての様相を取り戻しつつある。

 数多の観客に忘れられない思い出を残してきたグランドスタンドは姿を消すかもしれないが、120年の歴史を誇るこの施設を訪れると、5億ドル(約750億円)を超える再建プロジェクトは順調に進捗しており、2026年秋の完成が実に待ち遠しく感じられる。

 数ヶ月前、ベルモントパークは1マイル半(2400m)の砂場のように見えていたが、現在では、ダート、2つの芝トラック、オールウェザーの計4コースの輪郭が整った。コースのラチや距離を示すハロン棒もほぼ設置済みだ。石灰岩の路盤も敷設されている。新しい1マイル(1600m)のタペタコースはほぼ完成しており、今年の6月終わりか7月初めには調教に使用できるようになるだろう。7月までには、他のコースでの調教利用開始時期についてもより詳しい情報が得られるはずだ。

 1 1/4マイル(2000m)のレース用の新しいシュートも建設され、直線は約36メートル長くなり、ゴールはグランドスタンドの中央に来るように設置される。

 「ようやく競馬場らしくなってきました」とNYRA(ニューヨーク競馬協会)のCEO兼社長のデイブ・オルーク氏は2月5日、競馬場の見学会で語った。「私たちは5~6年前から社内でこの件について話し合ってきました。NYRAの上級副社長(運営および資本プロジェクト担当)のグレン・コザック氏と彼のチームがこれほど迅速にまとめ上げたのは素晴らしいことです」。

 NYRAは、ベルモントパークを北米屈指の競馬場にするための投資を惜しまなかった。このプロジェクトは、総工費約5億5000万ドル(約825億円)という、アメリカ競馬史上最も大規模で野心的なかつ、おそらく最も高額なプロジェクトだ。いくつかの主要な競馬場の将来が不透明な中、ニューヨーク市の郊外にきらびやかな新しい施設を建設する。

 「これは最先端のプロジェクトです」とオルーク氏は語った。「東海岸最大の調教施設で、これこそが投資すべき対象、すなわち馬へ投資するということです」。

 NYRAが手を抜かないことを示す例として、馬場を整備する別のプロジェクトに1億ドル(約150億円)を費やしていることが挙げられる。小さいがより近代的なグランドスタンドの建設と造成を行うためにニューヨーク州から4億5500万ドル(約683億円)の融資を受けているが、それとは別にこの金額を投資した。

 「ここ7、8年で私たちがビジネス面で行ってきたこと、すなわちNYRAベット、テレビ放映、あるいはその他の事業多角化のための取り組みなどの成果が、この新しい競馬場に見られるのです」とオルーク氏は語った。「この競馬場におけるROI(投資収益率)の定義は、馬にとって国内で最高の施設を整えることです。それが私たちの投資指標であり、競馬場の出来に反映されると信じています」。

 10万トンの資材が馬場の改修のために運び込まれた一方で、最も注目すべき改良点は、NYRAと業界にとって初となる給排水システムの導入だ。

 コースには、降雨に対応するための約4.9m間隔の排水溝と、高さ約6m、外周3mの200のドライウェル(排水弁)が設置される予定である。2026年にアケダクト競馬場が閉鎖され、ベルモントパークが州南部でNYRAが管理する唯一の競馬場となることを鑑みると、このシステムは2つの芝コースの維持管理に特に有益といえるだろう。

 オルーク氏は次のように語った。「馬場には排水性が必要ですが、同時に芝の成長と定着も必要です」「この排水設備のおかげで、表土と砂を50対50の割合で混合して使用することができます。排水設備がなければ、排水のために砂を多めに入れることになり、安定性や根の成長に問題が生じる可能性があります」。

 馬場の内側に新設された約5,700万リットルの灌漑池もまた、芝コースの管理に役立つ。

 「おそらく最大の改善点は、すべてが一新されただけでなく、使用されている素材に一貫性があることです。馬場表面の下の断面がすべて一定になっています」とコザック氏は語った。

 コザック氏は、最内のタペタコースの、とくにスターティングゲートを設置するエリアにおいて、路盤層の石が表面に露出するのを防ぐために敷くマットを設計した。

 「マットを追加するにはかなりの費用がかかりますが、その価値はあります。人工馬場の問題は、ダートコースのように石の有無を確認できないことです」。

 解体された築56年のグランドスタンドは、もはやこの地域の景観の一部ではなくなったが、新しい建築が進行中だ。基礎は完成し、壁は80~85%完成している。階段とエレベーターシャフトの輪郭が見える。

 通常の開催日には、この施設は9千~1万人のファンを収容でき、2025年のレース開催には十分な規模だ。しかし、ベルモントS開催日や、念願のブリーダーズカップがニューヨークで再び開催されるような特別な日には、さらに少なくとも5万人の観客を馬場内側の特設スペースとグランドスタンドに隣接する16,000平米の土地に収容することができる。

 新しい施設のボックス席は3月から販売開始される予定だ。

 最大の疑問である、ベルモントパークがいつ競馬開催を再開するかについて、オルーク氏は2026年9月を目標にしていると述べた。

 このスケジュールでは、2026年のベルモントS(G1)はサラトガ競馬場で開催される可能性が高く、2026年のブリーダーズカップ開催地としてもベルモントパークは有力な候補にはならないだろう。

 しかし2027年は、ブリーダーズカップ開催地としてベルモントパークよりもふさわしい場所は考えにくいだろう。アメリカで最も近代的な競馬場が世界にお披露目され、「古きはまた新しくなる」という格言が現実のものとなる。

By Bob Ehalt

(1ドル=約150円)

(関連記事)海外競馬情報2024年No.3ベルモントパーク競馬場、全面改修後の完成予想図を発表(アメリカ)【開催・運営】

[Racing Post 2025年2月6日「NYRA Focuses on Every Detail in Rebuilding Belmont Park」]


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