キーワード:
海外競馬ニュース(毎週更新)
No.28 - 3
チャーチルダウンズ社、バファート調教師の出走停止を解除(アメリカ)[開催・運営]
2024年07月25日

 チャーチルダウンズ社(CDI)は7月19日、殿堂入り調教師であるボブ・バファート氏とその管理馬に対して課されていた、CDIが所有・運営する競馬場における出走停止処分を即時解除すると発表した。この措置は、金曜(7月19日)に本紙(BloodHorse紙)が報じた通り、ゼダンレーシングがムース(牡3歳 父グッドマジック)に対するケンタッキーダービー出走停止処分の差止めを求めて起こした訴訟が棄却されたことを受けたものである。

 CDIのCEOビル・カースタンジェン氏は、今回の決定について以下の声明を発表した。

 「我々は、バファート調教師が自らの行為に対して責任を負うとともに、相当のペナルティを完遂したと考えています。今後、規則とレギュレーションを全面遵守した上で彼は競馬に参加します。これを以て本件を終結させ、未来に集中するときだと全ての関係者が考えています。バファート調教師は、旗艦競馬場であるチャーチルダウンズを含む、CDIが運営するどの競馬場にも復帰することができます。バファート調教師と関係者の皆様の今後のレースでの活躍を祈っています」。

 ゼダンレーシングによる訴訟は、今年4月にケンタッキー州ルイビルのジェファーソン巡回裁判所に提訴された。アムル・ゼダン氏が求めたムースのケンタッキーダービー出走に関する請求は棄却されたものの、CDIが求めていた訴えの全面棄却にはならなかった。この訴訟には、CDIが下したバファート調教師への出走停止命令延長に対する差止請求も含まれていた。

 元々、バファート調教師は2021年6月2日にCDIから出走停止の裁定を受けており、その禁止命令はチャーチルダウンズの2023年春開催終了まで有効であった。これは、2021年のケンタッキーダービーで1着入線したメディーナスピリットが、レース当日に禁止薬物であるベタメタゾンの陽性反応を示した分割サンプルの検査結果を受けてのものだった。

 これを受け、ケンタッキー州の裁決委員はメディーナスピリットを失格処分とし、バファート調教師には90日間の出走停止処分を下した。

 2023年7月3日、CDIはバファート調教師の出走停止期間を2024年末まで延長すると同時に、2024年ケンタッキーダービーの出走条件として、1月29日時点でバファート氏が管理した馬は出走できない旨を追記した。

 ゼダン氏は1月29日よりもかなり前にこの条件を知っていたにも関わらず、ムースをサンタアニタパークのバファート厩舎に留め置いた。ゼダン氏は、自らの厩舎の成功の多くをバファート調教師のおかげだと考えている。

 ゼダン氏は、ムースにダービーへの道を求めるだけでなく、「金銭的損害」の賠償も請求していたが、これは実体的効果を伴う形で却下されており、つまり再度訴えることはできなくなっている。

 出走停止期間が延長された当時のCDIのリリースでは、その有効期間は2024年末までとされていた。しかし金曜日の発表を以て、これらの制裁は解除された。これまでケンタッキーダービー6勝を挙げているバファート調教師は、CDIが運営する競馬場の他のすべてのレースとともに、再びダービーに参加することが可能となった。

 バファート調教師は金曜日、ソーシャルメディア上で次のように声明を発表した。

 「2021年ケンタッキーダービーにおけるメディーナスピリットの陽性反応について、その責任を認めます。私が管理する馬から検出された物質についての責任は私にあり、私は3年間の出走停止とメディーナスピリットの失格という大きな代償を払いました」

 「チャーチルダウンズおよびケンタッキー州競馬委員会(KHRC)が、競馬の安全と公正、そしてケンタッキーダービーの名声を守るために必要だと考えた規則を施行する措置をとったことを理解しており、感謝しています。私たち家族は、この事件を過去のものとし、これ以上気を散らされたりネガティブになったりすることなく、自分たちが愛する仕事に戻りたいと考えています。チャーチルダウンズ、そしてそのウィナーズサークルに戻ることをとても楽しみにしています」。

By Dick Downey

[bloodhorse.com 2024年7月19日「CDI Rescinds Baffert Ban After Zedan Case Dismissal」]



>> 海外競馬ニュース(毎週更新)一覧に戻る
>> TOPに戻る
(c)JAIRS