豪州競馬界に懸念が広がっている。87ものレースをブラックタイプ競走に昇格する計画が物議を醸しているが、レーシングオーストラリア(Racing Australia)がこれを承認すれば、国内のG1競走は国際的にリステッド競走としか見なされなくなるのだ。
アジア・パターン競走委員会(APC)、国際サラブレッド競売人協会(SITA)、そして強力な影響力をもつ国際格付番組企画諮問委員会(IRPAC)の承認なしにこれらの昇格にゴーサインが出されれば、国際セリ名簿基準委員会(ICSC)は豪州をパートII国に降格させるかもしれない。
業界内からの反発を受け、最多で87レースを昇格させるプランは疑問視されている。国際的に有名なガイ・ウォーターハウス調教師をはじめ、多くの関係者がこの動きに批判的であり、セリ会社のマジックミリオンズもパターン競走制度の公正確保への懸念を表明している。
豪州のG1競走全体の価値低下は最悪のシナリオだが、このシナリオはシンガポールに悪影響を及ぼし、マレーシアでもそのような状況が続いている。
国際的なガイドラインに精通している情報筋はこう語った。「ひとつの脅威が迫っていると想像します。12ヵ月以内にIRPACが連絡してきます。そして、彼らは『ただちにこれを正す必要があります。さもなければパートII国に降格させます』と言うでしょう」。
「IRPACに盾突くことなどできません。IRPACは世界中の競馬界と生産界の当局にとっての神のような存在であり、抗議するとなれば命がけです」。
「すでに混乱状態ですが、さらに悪化する可能性があります。IRPACが警告してもレーシングオーストラリアが何もしない場合、2年後に豪州はパートII国に降格し、競馬産業は破壊的な打撃を受けるでしょう」。
「数十億ドルもの投資が失われます。人々は豪州競馬から撤退し、背を向けるでしょう。北半球の牧場は、種牡馬を豪州にシャトルしたがらなくなるでしょう。海外の強豪馬はコックスプレート(G1)やメルボルンカップ(G1)のために遠征してこなくなります。壊滅的なことが起こり、多くの人に影響が及ぶでしょう」。
南半球最大の血統プロバイダーであるアリオン社(Arion)は、この昇格計画が正式に国際的承認を受けるまでは、ジ・エベレストやオールスターマイルをG1競走として認めないつもりであると述べた。
エイドリアン・ボット調教師と共同で厩舎を運営するウォーターハウス調教師は、10月12日(土)にタップクレイグ(L ローズヒル)をアノードで制した。この勝利はレーシングオーストラリアではリステッド勝利とされたが、アリオン社ではそのようなステータスを得られなかった。
ウォーターハウス調教師はこう語った。「もちろん、土曜日に総賞金50万豪ドル(約5,000万円)のレースで優勝したにも関わらず、アノードがブラックタイプ勝馬のステータスを得られなかったことにがっかりしています。しかしいつも言っていることですが、正攻法で行かなければなりません。豪州はそうしなかったのです」。
「重賞競走は国際的なパターン競走委員会によって作成されなければなりません。豪州はAPCにその提案を行っていませんでした」。
By ANZ Bloodstock News Staff
(1豪ドル=約100円)
[Racing Post 2024年10月15日「'It's cataclysmic what could happen - we could be decimated' - doomsday scenario feared in Australia after race upgrades scandal」]