海外競馬ニュース 2007年05月24日 - No.20 - 2
コネチカット州司法長官、NYRAのインターネット賭事に警告(アメリカ)[開催・運営]

 アメリカ北東 部の博戯市場をめぐる競争が新局面を迎えた。というのは、コネチカット州司法長官が、ニューヨーク競馬協会(New York Racing Association: NYRA)に、コネチカット州民からインターネット賭事を受付けるなら起訴すると警告したからだ。

 4月末、ニューヨーク州競馬賭事委員会(New York State Racing and Wagering Board)は、NYRAに州で初めてのインターネット賭事を提供するパリミューチュエル競馬の営業免許を与えた。それによりオンライン賭事が5月2日、 ベルモントパークのシーズン開幕と共に開始された。

 しかし、コネチカット州のリチャード・ブルメンタール(Richard Blumenthal)司法長官は、NYRAがコネチカット州民からの賭事を受け付けるならば、裁判所に差し止め命令を求めると述べ、コネチカット州の正 式文書による質問に対してNYRAは未だ回答していないと語った。

 サラブレッドタイムス誌の質問に対し、NYRA職員からのコメントは得られなかった。

 同司法長官は、アソシエイティッド・プレス(Associated Press)社に「これが前例として許されると極めて危険なことになるでしょう。私たちはそうなることを阻止するつもりです」と語った。

 同氏は、インターネット賭事は子供たちや賭博依存者たちを、魅惑的な賭事に誘い込むことになるだろうと述べた。しかし、実際の問題は財政なのかもしれな い。なぜなら、コネチカット州はすでにフォックスウッズやモヒーガンサンなどアメリカ北東部最大のカジノのいくつかがその本拠地としているからだ。

 NYRAのオンライン賭事番組は、人々が家庭で手軽に賭けることを促すので、カジノなどの施設で支出される可能性のある収益金を奪う恐れがある。

 インターネット賭事ルールによりNYRAは18歳未満の者から賭事を受け付けることを禁じられている。

 インターネット賭事に加えて、NYRAはアケダクト競馬場とベルモント競馬場にスロットマシーンの設置許可を得ようと懸命に試みている。ニューヨーク州にそのような施設が出来れば、さらにコネチカット州のカジノ収益を減少させることになるだろう。

 上述とは別に、ニューヨーク州6地域の場外勝馬投票公社(Off Track Betting Corporation: OTB)は、自身のインターネット賭事営業免許を申請するつもりであると述べている。4月30日公社の責任者は、州都アルバニーでの会合で、NYRAのオ ンライン賭事と戦うことで基本的に合意した。

 キャットスキル(Catskill)地域OTB理事長兼最高経営責任者のドナルド・グロス(Donald Groth)氏は、「州内の競争は数年間続いてきましたがこれからも続くでしょう。我々には速やかにインターネット賭事免許を取得する資格が十分にあると 思っています」と述べた。

 NYRAは、インターネット賭事は初年度で3,200万ドル(約38億4,000万円)を売上げると推定している。その分、OTBの収入が減少し、脅威となるのは明らかである。

 ベルモント、アケダクト、サラトガの各競馬場のレースを対象に、ファンがオンライン賭事に参加するには、NYRAに登録し、口座を設け、預金をしなければならない。

 OTBもインターネット賭事免許を取得すれば、ファンは新たに別の口座を持つことになるだろう。

 グロス氏は、NYRAの場合には郵便送金が必要だが、OTBのインターネット賭事は近所で預け入れ・引き出しができるという利点があると語った。

 同氏は、NYRAが共同でオンライン賭事プログラムを立ち上げるOTBからの企画を拒絶したと述べ、「州内における単一プログラムを持つことが最善なのですが、残念です」と語った。

 またグロス氏は、NYRAとの協定ができなければ、独自にインターネット賭事を実施するほかに、OTBには他の選択肢はないと語った。

 

By Paul Post
(1ドル=約120円)


[thoroughbredtimes.com 2007年5月4日「Connecticut AG threatens suit against NYRA over Internet wagering」]