海外競馬ニュース 2007年08月23日 - No.32 - 3
ベットフェア社、テロリストの資金洗浄に利用された報道を否定(イギリス)[その他]

 ベットフェア社(Betfair)は7月17日、「インターネットを通じてテロ行為を教唆した罪で、今月初めロンドンで服役中の3人の男が、同社の賭博サイトを利用してそのテロ行為の活動資金を洗浄していた」という報道を否定した。

 ワシントンポスト紙(Washington Post)の報道は、イギリスの捜査官の話に基づくものであり、大筋は次のとおりである。

 

(1) 3人の男のうち少なくとも1人が、世界中で12ヵ所を超える賭博サイトに口座を開設するために、クレジットカード犯罪を犯した。
 
(2) これらの賭事サイトには、ベットフェア社、ユーロベット社(Eurobet:コーラルグループの国際部門)およびキャンベット社(Canbetオーストラリアに本社、ロンドンに賭事センターを有する)が含まれる。
 
(3) タリク・アルダウール(Tariq al-Daour)がグループの他のメンバーとともに130を超えるクレジットカード口座を使って350件の資金洗浄を行った。

これら3人のイスラム教過激主義者タリク・アルダウール、ユネス・トゥーリ(Younes Tsouli)およびワッセム・ムガール(Waseem Mughal)は、ウェブサイトおよびインターネット掲示板を利用して、テロ行為を教唆し、また斬首行為やロンドン、ニューヨーク、ワシントンおよびマド リードで起きたテロリストの残虐行為の映像を流した罪により服役中である。

 ベットフェア社によれば、資金洗浄が2005年に未遂に終わったのは、同社の資金洗浄対策チームが口座を凍結して警察に連絡したためである。しかしワシントンポスト紙に記事が出てはじめて、同社は事件の背景を知ることになった。

 ベットフェア社の声明は、次のように述べている。「ワッセム・ムガールとユネス・トゥーリは2005年11月のロンドンでのテロ攻撃未遂事件で、有罪を 宣告された。最近メディアでは、このテロ犯罪のために当社のサイトを利用した資金洗浄が行われていたことを示唆する報道が多数見られる。実際、特定の資金 洗浄のかどで1人が有罪を宣告されたが、メディア記事はその資金洗浄が当社を通じて実行されたと示唆している。ベットフェア社のサイトを不正に利用しよう と企てる者が多数いたが、いずれも失敗に終わった。犯人の身元をつきとめ、口座を閉鎖し、またすべての関連情報を警察に提供している。“払戻金が引きおろ され、テロリストが管理しているオンライン銀行口座に送金された”という報道は、ベットフェア社に限って言えば、事実無根である。弊社は、捜査に際して警 察に協力したが、今後とも必要に応じて協力する所存である。警察に証拠を提供して捜査に貢献できたことを嬉しく思う。これ以上の発言を控えるよう警察から 指示されいる」。

 ベットフェア社のマーク・デーヴィス(Mark Davies)氏は、ワシントンポスト紙に対して、記事修正を求めたが、回答はまだ受け取っていないと述べている。

 しかし、同氏は、「新聞記者に私たちのところに来て事実関係を調べてほしいと言う気にはなりません。私たちは命取りになるようなことは決して行っていないと確信しています」と付言している。

 新聞報道は、ユーロベット社にとっても寝耳に水であった。同社の広報担当は、次のように述べている。「事件に関して知っているのは、ワシントンポスト紙 で読んだ事柄がすべてです。これまでに当局からもまたメディアからも連絡を受けていません。犯人の名前は、聞いたことはありませんが、当社は資金洗浄防止 のために通常必要とされる対策を講じています」。

 テロ攻撃未遂事件の主謀者であるトゥーリは10年の懲役刑を宣告され、また、アルダウールは6年半、ムガールは7年半の懲役刑を宣告された。ロンドンの ウリッジ刑事裁判所(Woolwich Crown Court)で2ヵ月間行われた裁判で、罪状認否手続における当初の答弁を変更して有罪を認めた。

 

By Bill Barber


〔Racing Post 2007年7月19日「Extremists did not launder funds on our site-Betfair」〕