12月20日に発表されたニュースによると、2007年のアイルランド競馬は大きな財政的支援により、賞金額が前年比で6%増加され、過去最高水準になる見込みである。これに伴い、イギリス競馬とアイルランド競馬との間にかなりの差が生じることとなった。
イギリスでは、競馬賭事賦課公社(Levy Board)の賞金への拠出金が6,840万ポンド(136億8,000万円)から5,925万ポンド(118億5,000万円)に13.4%減少する。 一方、アイルランド賞金基金(障害馬のための平地競走を除く)は、今年の推定5,510万ユーロ(82億6,500万円)から5,860万ユーロ(87億 9000万円)へ増加すると期待される。
賞金増額の結果、最低賞金額が今年より500ユーロ(7万5千円)上昇することとなり、アイルランドではどの競走の賞金額も8,500ユーロ(約128万円)を下回らなくなる。
ホース・レーシング・アイルランド(Horse Racing Ireland: HRI)の賞金基金への拠出金は3,310万ユーロ(49億6,500万円)となる模様で、これは2006年の予算額に対して160万ユーロ(2億 4,000万円)の増加となる。昨日発表された声明によれば、「今年の数字は、馬主が拠出するG1競走の追加登録料収入が予想以上に増加したことによるも ので、基金が底をつくことはないとみられる」。
アイルランド調教師協会(Irish Trainers’ Association)のジム・カバナー(Jim Kavanagh)理事長は、「賞金増額はアイルランド競馬の発展に寄与するでしょう。とりわけ嬉しいのは、最低賞金の増額です」と語った。
「こうした最近の増額は大歓迎です。理事会による非常に前向きな措置と言えるでしょう。アイルランド競馬の成功と健全な賞金レベルは密接に関係しますし、そのことは記録的な在厩馬数として明確に現れています」。
増加額の内の約140万ユーロ(2億1,000万円)は、来年のダンダーク(Dundalk)競馬場での新しい全天候型馬場12日開催を含む、14日間 の追加開催資金に充てられることになるだろう。またゴフスセール(Goffs Sale)社をスポンサーとする競走(今年初めてカラー競馬場(Curragh)で開催される)の賞金は合計で80万ユーロ(1億2,000万円)増額さ れる。
平地及び障害のブラックタイプ競走の質がより高くなるようにとの期待から、HRI理事会は賞金引当金を設定し、G1障害競走は、最低賞金を65,000 ユーロ(975万円)から100,000ユーロ(1,500万円)に引き上げることを承認したほか、より価値が高くファンの目を引く平地の重賞ハンデ競走 を4競走増やして10競走とし、その賞金を100,000ユーロ以上とした。
障害レースの賞金が増額されたため、ゴーラン・パーク(Gowran Park)、ナース(Naas)、ナヴァン(Navan)の各競馬場がG1競馬場として再分類されることも合意された。平地のG2競馬場の分類は変わらない。
HRI競走担当理事のジェイソン・モリス(Jason Morris)氏は、2007年の賞金予算と新しい基準額を公表し、次のように述べた。「HRIは国際比較で最も魅力的な賞金を提供することを約束します」。
「HRIは、どの馬も現役でいる限り能力に基づいて金銭的に報われるようにしていくつもりです」。
「特に最高品質のG1ナショナル・ハント競走、トップクラスの平地ハンディキャップ競走の賞金を改善することに重点をおいています。希望的ではありますが、より多くのトップクラスの馬が今後アイルランド競馬に出走してくるようになるでしょう」。
イギリスでは、賦課公社の直接賞金拠出額は、6,250万ポンド(125億円)から5,500万ポンド(110億円)へ減額したことに加え、出走奨励金 予算は150万ポンド(3億円)に半減、分割競走予算は110万ポンド(2億2,000万円)から95万ポンド(1億9,000万円)に削減された。生産 者賞予算は180万ポンド(3億6,000万円)に維持されている。
By Brian Fleming
(1ポンド=200円、1ユーロ=150円)
[Racing Post 2006年12月21日「Cash boost set to raise Irish prize-money to record level in 2007」