海外競馬ニュース 2007年11月29日 - No.46 - 2
開催日程は、競馬ファンと業界のニーズを満たすべきである(イギリス)[開催・運営]

 競走馬資源(頭数)でなく、競馬ファンと賭事産業のニーズが、イギリス競馬の開催日程の見直しに当たり最優先で考慮されるべき要素である。これは、競馬場協会(Racecourse Association: RCA)が英国競馬統括機構(British Horseracing Authority: BHA)に提出した意見概要書(executive summary)で述べられている言葉である。

 3,384語からなる“意見概要書”の中で、RCAは開催日数の大幅削減を行うべきでないと主張し、「RCAは、現在の開催日の配分はバランスが取れていると確信している」と述べている。

 意見概要書では、アイルランドのレーティングシステム(このシステムのもとでは、一定基準以下のレーティングの馬が出走することは期待できない)に似たレーティングシステムを提唱しており、「下級馬の出走により上級馬がなおざりにされる場合、下級馬に対して出走機会を与えるべきでない」と述べている。しかし、RCAの一般的見解は、可能なかぎり大多数の馬に出走機会を与えるべきであるというものである。

 さらに、RCAは“重賞競走と特別競走があまりにも多すぎる”と考えている。これらへの競走の出走頭数が減少傾向にあり、競馬放送局から1レース当たりの出走馬を9頭以上にするよう要求されている有様で“これらの競走を開催する魅力は、ますます少なくなっている”。

 RCAはまた、競馬の公正確保に関するコストについて、“懸念を強めている”と強調している。RCAによると、競馬の公正を確保するためのコストは、“インフレ率を超えて増加しており”、競馬賭事賦課公社(Levy Board: 賦課公社)の予算の25%を占めていると述べている。

 一般的には、賦課公社の賞金補助をうける競走はそれぞれ、その開催にふさわしい十分な売上げを生み出すべきである。

 BHAは開催日程の戦略的見直しを、5月に開始した。調査結果報告書は、2009年の開催日程が来年7月に発表されるのに先立って、本年の12月に作成される予定である。

RCAの意見概要書の要点

‐障害競走シーズンまたは平地競走シーズンにオフシーズンを設ける必要はない。すなわち、騎手と調教師は個々に休暇を決定できるようにすべきである。

‐観客を増やすために、テレビ放映を通じて、競馬を“分りやすく説明する”必要がある。

‐競馬場は、開催日程を検討するのに十分な時間を与えられるべきである。

‐1日当たりのレース数を増やし、開催日数を減らすと、人工馬場の都合にあわせることになるだけである。すなわち、このような動きは競馬産業の収入全体を減少させることになる。

‐競馬開催を地理的にバランスよく配分するため、開催日程を競馬場同士で任意に交換することを認められるべきである。

‐障害競走は費用がかかるため、系統だった“開催奨励制度(Fixture Incentives Scheme)”を必要とするが、夏季開催で障害競走をある程度維持することは可能である。

‐利用しやすくかつ包括的な投票データが必要である。

By Turia Tellwright

[Racing Post 2007年10月31日「Betting industry key drive in huge fixture list」]