11月、ラッ セル・ベイズ(Russell Baze)騎手に北米の全競馬関係者の注目が集まった。同騎手が、ラフィット・ピンカイ・ジュニア(Laffit Pincay Jr.)騎手が持つプロ通算9,530勝という記録を更新する見込みだ。しかし、この記録に手が届くところにもう一人別の騎手がおり、実際にこの騎手がこ の1年間ではほとんどベイズ騎手より上回っていたことに殆どの人が気付いていなかった。
ブラジルの偉大な騎手、ホルヘ・リカルド(Jorge Ricardo)は、年頭初に60勝ほどベイズ騎手を上回り、9月10日にはベイズ騎手より1勝多い9,441勝に達した。しかし、リカルド騎手は6月ま では騎手組合の規定により、専属契約している馬主のルビオ・B・ファーム(Rubio B.Farm)の所有馬にしか騎乗できなかった。他の馬主の馬にも騎乗できるようになったのは、7月1日以降のことである。
12月6日時点で、リカルド騎手の勝鞍は9,509勝となった。
リカルド騎手は「ラッセル・ベイズ騎手おめでとう。それがどれだけ努力の要ることで、どれだけ多くの犠牲を強いられたことか、私には分かります。ベイズ 騎手は精力的に騎乗しており、私はこの同僚を追い抜くために一層努力しようという意欲をかき立てられました」と語った。
リカルド騎手は、1961年9月30日、リオ・デ・ジャネイロに生まれ、1976年に騎手デビューした。大半の勝鞍はリオ・デ・ジャネイロにあるブラジ ル・ジョッキークラブ所有のガヴェア(Gavea)競馬場で挙げたものである。同騎手はサンパウロのシダデ・ジャルディン(Cidade Jardim)競馬場を含む、ブラジルの6競馬場でも勝っている。ブラジル以外の国では、アルゼンチン、ウルグアイ、チリー、ペルーで優勝した。
1月にアルゼンチンで乗り始めて以来、同騎手は、サン・イシドロ(San Isidro)競馬場で64勝、パレルモ(Palermo)競馬場で75勝、ラ・プラタ(La Plata)競馬場で18勝した。
同騎手の通算勝率は約25%であり、またこの26年間、ブラジルのリーディング・ジョッキーであり続けた。
同騎手は以下のように語った。「私は馬に乗ることに人生を捧げており、競馬を愛しています。騎手のみならず、調教師、馬主、生産者の間で厳しい競争が繰 り広げられている長い伝統をもったアルゼンチンで騎乗することは、45歳になった今でも私にとって新鮮かつ魅力的な挑戦となっています」と語った。(訳 注:新聞報道によれば、リカルド騎手は1月5日に9591勝に達し、世界最多勝記録を塗り替えた)。
By Steve Haskin
[The Blood-Horse 2006年12月16日 「International Record」]