ケンタッキー州のホースマンは民事訴訟において、チャーチルダウンズ社(Churchill Downs Inc.: CDI)に対し、仮差止を請求した。
ケンタッキー・ホースメン共済協会(Kentucky Horsemen’s Benevolent Protective Association: KHBPA)は5月27日、CDIが5月14日に導入した賞金20%削減の仮差止を求め、ケンタッキー州西部地域を管轄する合衆国連邦地方裁判所に申立てを行った。
KHBPAの申立てには、「この仮差止の申立ては、ホースマンへの賞金の交付・分配に関する、CDIの契約・法令違反行為に対して行うものである。KHBPAとそのメンバーが、州間競馬法に基づく権利行使としてライブ映像配信を否認したところ、CDIはこれに対する報復として契約法令違反行為を行った。これによりKHBPAのメンバーとケンタッキー州のサラブレッド競馬産業は損害を被ることとなり、その損害は事後的な法的救済措置によっては適切に回復することが不可能なものである」と記されている。
CDI所有のツインスパイア社(TwinSpire)他の主な電話投票(advance deposit wagering: ADW)運営業者にCDIが映像配信しようとしたところ、ケンタッキーのホースマンはこれを承認しなかった。
この騒動は、フロリダのホースマンたちがADWの利益の33%を取り分として要求して、コールダー競馬場の映像の配信を拒否したことに対し、CDIとその子会社の数社が4月24日にホースメンズ・グループ(Thoroughbred Horsemen’s Group: THG)とフロリダ・ホースメン共済協会(Florida Horsemen’s Benevolent and Protective Association)およびこれらの団体の関係者を相手どってシャーマン反トラスト法違反として訴訟を起こしたことが発端である。
CDIは5月14日、ケンタッキーのホースマンがチャーチルダウンズ競馬場の競馬映像をADW運営業者に配信することを阻止したために、ケンタッキー州サラブレッド協会(Kentucky Thoroughbred Association)とKHBPAを被告に加えた。KHBPAの申立てのなかで、ホースマンは、賞金削減は報復であると主張している。
KHBPAの申立てには、「この報復は、チャーチルダウンズ競馬場で活動するホースマンへの賞金支払額の前例のない不当な削減というかたちをとっている。この削減は、CDIが2008年春開催開始にあたって発表した賞金スケジュールを20%も下回る」と記されている。
ホースマンは賞金財源の減少は1%未満であると主張している。KHBPAは20%の賞金削減は“全ての競馬開催において賞金の過少支払いと過剰支払いを避けるために相当な注意を払う”とする契約条項に違反するものであると述べている。
この賞金削減を発表した際に、CDIはADW運営業者からの収入の減少について言及した。CDIのスティーブ・セクストン(Steve Sexton)会長は、「収入減を補填するために、当社は下級条件競走の賞金額を削減する以外に選択肢はありません。なぜなら、ケンタッキーのホースマンが競馬ファンのADW賭事を妨げたからです」と述べた。
チャーチルダウンズ競馬場のジム・ゲイツ(Jim Gates)場長は5月19日、ADW運営業者からの収入減は、賞金削減を決定した理由の1つにすぎないと述べた。同氏は、同競馬場の収入は昨年の秋開催から減少しており、映像料収入も冬開催と春開催において減少していたと語った。
ゲイツ氏は、「今開催の賞金水準はもっと低かったかもしれません」と述べ、「チャーチルダウンズ競馬場は、高収入が見込めるケンタッキーダービー・ウィークによって、賞金原資が当初予定していたレベルに達するだろうと楽観的になっていました」と説明した。
By Frank Angst
[thoroughbredtimes.com 2008年5月27日「Kentucky horsemen ask court to halt purse reduction」]