海外競馬ニュース 2008年07月10日 - No.27 - 4
ニューヨーク州、ニューヨーク市の場外馬券発売の運営引継ぎへ(アメリカ)[開催・運営]

 ニューヨーク州は、ニューヨーク市場外馬券発売公社(New York City Off-Track Betting: NYCOTB)の営業停止の危機を回避し、この公社を再建するためにNYCOTBの運営を引き継ぐ模様である。

 ニューヨーク州知事デーヴィッド・パターソン(David Paterson)氏は6月13日、NYCOTBの営業を90日間続行することについて合意が成立したと発表した。そのあと新たな公益法人に引き継がれるだろう。

 パターソン州知事は、「つまり州がNYCOTBの運営を引き継ぐのです。このことにより、ニューヨーク市は行き詰まりを打開できます。NYCOTBがその経費を支払い、借入金を返済して、余剰金は後援者(市、州および競馬産業)に配分できるよう、然るべき立法措置を講じます」と述べた。

 ニューヨーク市は、昨年1300万ドル(約14億3000万円)の損失が報告されたNYCOTBに助成金を支払っていた。ニューヨーク州は2009-10会計年度に累積赤字が50億ドル(約5500億円)に達することが予想されているが、パターソン州知事は事態の解決に自信を持っている。

 パターソン州知事は、州内のすべての場外馬券発売会社が運営の効率化を図ることを期待している。これにより、NYCOTBの60店舗とレストラン8店を閉鎖し従業員1508人が職を失う。

 同知事は、次のように語った。「州内の場外馬券発売公社は連携がとれていませんし、組織的でもありません。その内の5店舗だけでも団結することができたなら、非常に大きなチャンスが生まれるでしょう。仮にパリミューチュエル賭事システムとインターネット賭事システムを統合することができれば、おそらく数百万ドルの節約になるでしょう。NYCOTBは、42番街に本社があります。それをアケダクト競馬場に移転させようと思います。そのことにより、年間500万ドル(約5億5000万円)が倹約できるでしょう。NYCOTBがその場所を賃貸すれば、さらに数百万ドルを運営費に回せます」。

 ニューヨーク州上院院内総務のジョゼフ・ブルーノ(Joseph Bruno)氏は、州による引継ぎには、9000万ドル(約99億円)の経費が必要となると見積もっている。ニューヨーク市は、移行の間の支援を約束している。マーティン・ゴールデン(Martin Golden)上院議員は、州上院民主党多数派はこの計画を支持すると述べた。

 ゴールデン氏は、「ニューヨークの競馬は、サイマルキャストやパリミューチュエルを運営するNYCOTBなしでは機能しません。収益性を上げ、理に適ったものにするために賭事運営を完全なものにする必要があります」と述べた。

 ニューヨーク州は、新たな公益法人を設立すると同時に、アケダクト競馬場のスロットマシン運営を引き継ぐための最終選考に残った3社を3ヵ月かけて検討する。

 パターソン州知事は、「OTBの運営の引き継ぎはリスクを伴いますが、この取り決めは合意に基づき実施中です」と付言した。

By Frank Angst
(1ドル=約110円)

[thoroughbredtimes.com 2008年6月13日「State to operate New York City Off-track betting」]