騎手の集まる検量室ではガソリン高騰の話題でもちきりであり、騎手協会(Professional Jockeys’ Association: PJA)は騎乗料問題への取り組みを迫られるだろう。PJAのジョシュ・アピアフィ(Josh Apiafi)理事長は、騎手たちの年間走行距離を調査中だが、その距離は平均で5万マイル(約8万500 km)を上回る見込みである。同理事長は、ガソリン高騰は騎手の収入に大打撃となり、廃業を余儀なくされる者が出るのではないかと心配している。
同理事長は、「これは大きな懸念材料です。問題を解決するために、騎手たちの経費増加の状況を調査中です。平地騎手は1回の騎乗につき100.44ポンド(約2万4,100円)、障害競走の騎手は137.10ポンド(約3万2,900円)を受け取っており、そのなかから10%をエージェントに支払い、開催日の初騎乗については14ポンド(約3360円)をバレットに支払うほか、さらに税金を納めなければなりません。ガソリン高騰の前でもこのような状況だったのです。1日1回騎乗したぐらいでは、あまり手元に残りません」と語った。
「廃業を余儀なくされた騎手の大半は、ガソリン高騰のせいだと言っています。1回だけの騎乗のために競馬場に赴いた場合、騎手自身に負担が掛かり過ぎており、改善すべきです」。
1リットルにつき120ペンス(約288円)を超える軽油の急騰は、馬輸送事情にも影響を与えている。
ランボーン競走馬輸送会社(Lambourn Racehorse Transport)のメリック・フランシス(Merrick Francis)会長は、今年4月に、2004年10月以来据え置いてきた料金を引き上げたが、まもなく次の値上げを行うつもりだと語った。
フランシス会長は、「その後の軽油高騰で、またもや輸送料金の見直しをせざるを得ないでしょう。いまのところは、軽油高騰によるコスト増嵩分をなんとか吸収していますが・・」と述べた。
調教師たちも、競馬場への往復の輸送費の上昇を徐々に気にかけ始め、危機感をつのらせている。
フランシス会長は、「近頃調教師たちは2頭積みの馬運車を購入するようになり、自身で馬を輸送しようとしています。これでは私たちの仕事はなくなってしまうでしょう」と付言した。
[Racing Post 2008年6月12日「Rising fuel costs eating into jockeys’ riding fees」]