海外競馬ニュース 2008年07月24日 - No.29 - 4
ニューマーケットの競馬産業、航空機の騒音を懸念(イギリス)[その他]

 全国航空管制機関(National Air Traffic Service:NATS)の新たな提案によると、ニューマーケットの上空を飛行する航空機の数の大幅増加が見込まれることから、これを阻止しようとする同地の競馬産業界は、周辺の住民感情と公害発生の予想に基づく議論を頼みの綱としている。

 スタンステッドとルートンの両飛行場に着陸する飛行機のための新たな待機空域を設けるNATSの案が決定されれば、2014年までには1日に300機以上の航空機がチェヴァリーの上空を、またその一部がニューマーケットの最も重要な牧場の上空を旋回することになる。そして、スタンステッド飛行場に第2滑走路が建設されれば、航空機の数は400機に上る見込みである。

 民間意見聴取期間は5月中に終了するはずだったが、6月17日まで延長された。特別に結成されたニューマーケット競馬・生産関係者団体(Newmarket Horseracing and Breeders’ Group: NHBG)は、当該地域での競馬産業の活動を脅かすことのないよう求める要望文書を提出する模様である。

 NHBGの代表であるアリステア・ワトソン(Alistair Watson)氏は、航空機の旋回飛行が馬たちを怖がらせることだけが問題ではないと述べ、次のように説明した。「馬は非常に順応性のある動物ですし、7,000〜14,000フィート(約2100〜4200 m)上空から聞こえる騒音の影響がわずかなものであるという事実を否定するつもりはありませんが、論点はそこにはありません。牧場所有者や調教事業の経営者、そして彼らと一緒に働いている人々の間で懸念が高まっています。というのは、ニューマーケットの地域や競馬産業は世界的に影響力を持った人々を頼りにして生計を立てています。私たちが不安に耐えないのは、彼らが年間数千万ポンドにも上る投資を控え、投資先を世界の他の地域に移すのではないかということなのです」。

 カーステン・ラウジング(Kirsten Rausing)氏のランウェイズ牧場(Lanwades Stud)のマネージャーであるワトソン氏は、ある調査によれば、ニューマーケットの牧場の77%が事業に何らかの影響があると予想しており、63%が将来の投資決定がNATSの提案の影響を受けると回答していると語った。

 ワトソン氏は、「投資家たちは、静けさを求めてニューマーケットに来たと語っているのに、もうすぐそうでなくなります。もし投資家たちの信頼を失えば、大牧場の下請けをしている小牧場にも顕著な影響がでるでしょう」と述べた。

 NHBGは、ニューマーケットでは9,400エーカー(約3,760ヘクタール)で700人が牧場を経営しているので、同地の代わりに、1,000エーカー(約400ヘクタール)あたりに1人の雇用労働者しかいないイーストアングリアなどの他の場所に旋回空域を移すことを提案している。

By Howard Wright

[Racing Post 2008年6月17日「Newmarket unites to fight aircraft stacking」]