アイルランドの種付料収入に対する免税措置は2008年7月31日に失効する。この税制優遇措置が講じられてきた40年間に、アイルランドの競走馬生産は顕著な成長を遂げた。
この税制優遇措置廃止は、欧州委員会(Europeen Commission)から国家補助の指摘を受け、2005年に決定されており、予期せぬ出来事ではない。
この税制変更により、生産者たちは種付料利益について所得税あるいは法人税を支払わなければならないこととなる。アイルランドの法人税の税率は約12.5%であり、8月1日以降の種付料収入が課税対象となる。
クールモア牧場のジョン・マグナイア(John Magnier)氏はレーシングポスト紙(Racing Post)に対し、「税制優遇措置は競走馬生産が産業と言えないような時代には大きな奨励効果を発揮しました。政府がこの措置を導入し、その後もこの措置を維持したことは、賢明な選択でした。現在アイルランドの競走馬生産業は活発であり、競走馬生産に適した気候、環境、就業者がありそして政府の支援などの多くの利点があります。今や競走馬生産業は国庫に貢献できるようになりました」と語った。
アイルランド・サラブレッド生産者協会(Irish Thoroughbred Breeders’ Association)の会長で、バリーヘイン牧場の所有者であるジョー・フォーリー(Joe Foley)氏は、アイルランドの競走馬生産業が“ちっぽけな馬小屋の産業”から現在では世界的リーダーの1つにまで成長した過程で、税制優遇措置は優れた触媒のような働きをしたと述べた。
フォーリー氏は、「種付料収入に対する税制優遇措置の終了は、アイルランドのサラブレッド産業にマイナス効果をもたらすでしょう。何年かすれば、その大きさが分かるでしょう」と述べた。
同氏は、この税制変更のせいでアイルランドの生産者は、ケンタッキーなどのライバル(有利な生産者奨励金の恩恵を受けている)に対抗して種牡馬を競り落とすことが困難になるのではないかと憂慮している。
なお、今回の税制変更で、種牡馬所有者は種牡馬の購買費用を4年間で減価償却できることとなった。
レーシングポスト紙の報告によると、1960年代後半に税制優遇措置が導入されてから、アイルランドはアメリカとオーストラリアに次ぐ世界第3のサラブレッド生産国となり、その生産頭数はヨーロッパのサラブレッド生産の42%を占めている。
[thoroughbredtimes.com 2008年7月31日「Irish breeders lose stallion tax exemption」]
(参考: 海外競馬ニュース 2007年3月1日付「免税措置の適用がなくなる種牡馬所有者(アイルランド)」)