最近5年間に外国馬の参戦がなかったため、チャーチルダウンズ社(Churchill Downs Inc.: CDI)は、2009年3月18日英国のケンプトンパーク競馬場で賞金15万ドル(約1650万円)のケンタッキーダービーチャレンジS(Kentucky Derby Challenge Stakes: KDCS)を施行し、その勝馬に自動的にケンタッキーダービー(G1)の出走権を付与することを提案した。
CDIは、ケンプトンのポリトラック馬場で施行されるKDCS(右回り1800 m)の勝馬に出走権を与え、出走特別手当として10万ドル(約1100万円)を支払う。馬主は、当該馬を三冠競走に特別出馬登録し、さらにケンタッキーダービーへの出馬登録料と出走料を支払わなければならない。
CDIのスティーブ・セクストン(Steve Sexton)会長は、「ケンタッキーダービーはもちろん、人々を引き付けるエキサイティングなイベントです。外国馬が参戦することにより、このアメリカの最も偉大なレースへの期待が高まり、レース展開も一層複雑になります。5月第1週のチャーチルダウンズ競馬場の発馬機に外国馬が入ることを奨励する革新的取組みのために、ケンプトンパーク競馬場および同競馬場を所有するジョッキークラブ競馬場社(Jockey Club Racecourses)の役職員たちと協力することは大変素晴らしいことです」と述べた。
同会長は、「今回導入した仕組みにより、外国馬が継続的にケンタッキーダービーに参戦するようになれば、同レースへの関心が世界的に高まるでしょう。また長期的には、ケンタッキーダービーの馬券の国際的な販売拡大に取組んでいるので、その需要を高めるのに一役買うでしょう」と語った。
ケンタッキーダービーでの最も近年参戦した外国馬は、2002年のヨハネスブルグ(Johannesburg)、キャッスルガンドルフォ(Castle Gandolfo)およびエッセンスオブドバイ(Essence of Dubai)であったが、いずれも3着までに入線しなかった。北米以外の出身で優勝馬となったのは、1971年のベネズエラのカノネロ(Canonero)である。
チャーチルダウンズ競馬場は、2006年のブリーダーズカップ(Breeders’ Cup World Championships)開催に先立って検疫厩舎を増設したため、外国馬にはより便利になった。それ以前は、もっとも近い検疫施設はレキシントンのキーンランド競馬場であった。
ヨハネスブルグとキャッスルガンドルフォを送り出したアイルランドを拠点とするエイダン・オブライエン(Aidan O’Brien)調教師は、「KDCSは素晴らしいアイデアだと思います。我々の管理馬をまたケンタッキーダービーに送りたいと考えています」と述べた。
CDIはケンプトンで施行されるKDCSの賞金15万ドル(約1650万円)のうち9万ドル(約990万円)を拠出する予定である。このレースは、自動的にケンタッキーダービーへの出走権を与える世界で初めてのレースとなる。
By Jeff Lowe
(1ドル=約110円)
[thoroughbredtimes.com 2008年9月17日「Automatic Derby spot to go to Kempton race winner」]