1月29日の朝は、ジャクソン(Roy & Gretchen Jackson)夫妻にとって、彼らの愛馬バーバロ(Barbaro)に関する多くのことを象徴する日である。蹄葉炎との闘いに破れ命を失ったバーバロの1周忌であるだけではなく、2006年ケンタッキーダービー(GI)を優勝して数百万人もの人々の心をつかんだチャーチルダウンズ競馬場にバーバロを葬ることを発表する日となったからだ。
また1月29日は、バーバロが蹄葉炎の研究に影響を及ぼし、研究に対する世間の認識を高めたことを夫妻が実感した日でもあった。チャーチルダウンズ競馬場での記者会見で、ジャクソン夫妻はバーバロの功績を称えて設立する基金に、ペンシルベニア大学ニューボルトンセンターの蹄葉炎研究のための募金約3,000万ドル(約36億円)が集まったと発表した。
バーバロは競馬史において初めて、歴史ある競馬場の敷地内に埋葬される馬である。彼の遺灰はチャーチルダウンズ競馬場の入場門前のレンガに囲まれた土塁に埋葬される予定である。そこにはジャクソン夫妻が制作を依頼したバーバロの等身大のブロンズ像が建立され、公式な記念像として競馬場に貸与される。
ロイ・ジャクソン氏は、ケンタッキーダービーを6 1/2馬身差をつけて優勝したバーバロを記念するにはチャーチルダウンズ競馬場しかありませんと語った。同馬はその後のプリークネス・ステークスで故障した。
ケンタッキーダービー博物館(Kentucky Derby Museum)のリン・アシュトン(Lynn Ashton)常任理事は、「ジャクソン夫妻がチャーチルダウンズ競馬場を選んだことはとても素晴らしいと思います。これで誰でもバーバロに会いに来て、同馬のことを知ることができます。ジャクソン夫妻は、バーバロの競走歴と病気の回復のために時間を費やして様々な考慮をされ、また同馬の永眠の地についても同じようにいろいろと配慮されました」と語った。
アシュトン常任理事は、ダービー博物館は2008年の秋競馬で特別展を開催し、それは2009年の夏頃に等身大像が建立される時期まで続けられるだろうと語った。ジャクソン夫妻は数ヵ月以内にどのアーティストにその像の制作を依頼するか最終決定することにしている。
グレッチェン・ジャクソン氏は、「バーバロが眠るこれ以上の場所はありません。しばらく迷いましたが、チャーチルダウンズがバーバロを迎えてくれたことに本当に感動しました」と語った。
ジャクソン夫妻は、昨年1年間をかけてバーバロの埋葬先を探し、ケンタッキー・ホースパークやフェアヒル調教センターなどの他の数ヵ所も検討していた。
グレッチェンは、「バーバロのケンタッキーダービーは私たちにとって、特別な日でありレースでした。チャーチルダウンズは大変由緒ある競馬場ですので、バーバロがその一部となったことには感慨ぶかいものがあります。バーバロは、我々に、また現在は皆様にも大変大きなものを残してくれました。私たちはそのことが嬉しいのです」と付言した。ロイ・ジャクソン氏は、バーバロの像を見れば、同馬が走ることをどれだけ愛していたかを思い起こすことができると述べた。
「私は、バーバロがダービーで、飛ぶように走って一気に6馬身引き離したことを思い出します」。
記者会見では、近所のセンプル&フレイザー小学校(Semple and Frayser Elementary)の子どもたちが同馬を応援しているビデオが上映された。
5年生のパイパー・ウィットメア(Piper Whitmere)君は、「バーバロはアメリカの人々を元気づけました。バーバロは人生に困難はあるかもしれないけれど、ほとんど全ての障害は乗り越えることができると教えてくれました」と語った。
チャーチルダウンズ社(Churchill Downs Inc.)のスティーブ・セクストン(Steve Sexton)会長は、「ケンタッキーダービーはさまざまな思い出のあふれるレースです」と述べ、バーバロは馬の疾病研究への世界的認識を高めることにより、最も有名なダービー優勝馬の1頭となったと付言した。また、「私たちはただジャクソン夫妻がバーバロをここにつれて帰ってきてくださったことに感謝しています」と語った。
By Esther Marr
(1ドル=約120円)
[bloodhorse.com 2008年1月29日「Barbaro to Rest at Churchill Downs」]