11月24日、予算案の準備段階における財務大臣議会報告の細部が明らかになり、ブックメーカーたちは当面、固定オッズ発売端末(Fixed Odds Betting Terminals: FOBT)への増税が含まれていないのを見て安堵した。
メディアと分析専門家のこれまでの報道では、財務省の予算編成大綱案に、ブックメーカーのFOBT事業の収益に対する年間数十億ポンドの増税により、減速している経済の立直しのための財源を得る構想が含まれていた。
11月24日のアリスター・ダーリング(Alistair Darling)財務大臣の報告の1つは、付加価値税(value added tax)を17.5%から15%に引き下げる減税で、これはブックメーカーにとっても利益となる。
FOBTと呼ばれるゲーム機の導入によって、ベッティングショップの経営は劇的に改善した。
ラドブロークス社(Ladbrokes)は先週、FOBTの1台1週間あたり平均租収益は677ポンド(約16万2480円)であると報告した。2,600店のベッティングショップに8,000台設置されているFOBTの租収益は、毎週550万ポンド(約13億2000万円)近く、年間2億8000万ポンド(約672億円)に上る。
ラドブロークス社のスポークスマンは、財務省の決定を歓迎し、「賭事産業においては過去2年間に、管理費用や競馬映像料など多くのコストアップの圧力がありました。付加価値税の税率が下がれば少し助かります。しかし、2009年は賭事産業にとっては大変な年になるでしょうし、閉店の危機に晒されている零細なベッティングショップは沢山あります」と語った。
同氏は、「私たちの業界もこれほどの景気後退は経験がなく、ラドブロークス社は2008年には、2002年以来最も多くのベッティングショップを閉店しました。これは雇用と収益全般に大きな影響が出ます」と付言した。
財務省において特にFOBTを増税の対象にする構想が生まれた背景には、賭事委員会(Gambling Commission)の調査結果、すなわちFOBTの売上げが驚異的であり、さらにFOBTは賭博中毒にかかる危険性が高いという指摘がある。
しかし賭事産業に対する増税を行わないという決定は、アイルランドに影響した。アイルランド政府は10月の予算案で増税を表明したが、多数のベッティングショップが閉店を余儀なくされることが明らかになったため、増税を延期した。ラドブロークス社や他の賭事業者はこの決定を歓迎した。
アイルランドの賭事税の税率は、当初2009年1月に1%から2%に引き上げる予定であったが、さらに検討を加えるために5月に延期された。
ダーリング財務大臣は、英国の付加価値税の減税は12月1日から実施するが、減税期間は2009年末までとすると述べた。同大臣は、この減税の規模は125億ポンド(約3兆円)になるだろうと付言した。
同大臣はまた、英国が来年不況に突入することになり、金利引下げではもはや十分ではなく、減税が必要であると述べた。
By Tony Smurthwaite
[Racing Post 2008年11月25日「Relief for bookies on FOBTs and VAT」]