アスコット競馬場は12月3日、ベッティング・エクスチェンジ(個人対個人の賭事)を提供するベットフェア社(Betfair)が、アスコット競馬場の 最重要レースであるキングジョージVI&エリザベス女王Sのスポンサーになったと発表した。2006年まで34年間にわたりスポンサーであったダイアモン ド販売会社のデビアス社(De Beers)が降りた後、スポンサー探しが続いていたがやっと終止符が打たれた。
ベットフェア社との5年契約は王立のアスコット競馬場を大いに活気づけ、キングジョージは2009年に初めて100万ポンド(約1億7000万円)の レースに格上げされ、ベットフェア週末開催3日間の土曜日に“キングジョージVI&エリザベス女王S(ベッドフェア社後援)”として施行される。
ベットフェア社とのこの契約に含まれるのは、G1平地レースであるキングジョージへの支援だけではない。ベットフェア社は来シーズン、アスコット・チェ イス競走[アスコットで最も価値ある障害競走で賞金総額が15万ポンド(約2550万円)]にもその名前を加える。併せて、同競走とヘイドック・ベット フェア・チェイス競走を連覇すれば、ベットフェア・ミリオンボーナスが支給される。
ベットフェア社のロゴは、年間を通じ同競馬場に掲示されるほか、アスコット開催の金曜日には発馬機にバナー(横断幕や旗)で表示される。ベットフェア社は今後アスコット競馬場と広範囲の商業関係を展開することになろう。
アスコットにとって、キングジョージのスポンサー契約は、ベットフェア社との関係で最も重要な部分となる。ボーダフォン(Vodafone)がダービー のスポンサーから降りた後、エプソム競馬場はベットフェア社とスポンサー契約交渉を進めてきたが、この交渉はまとまらなかった。
なぜダービーではなくキングジョージを選択したか、その理由について、ベットフェア社の競馬担当部長であるスティーブン・バーン(Stephen Burn)氏は、「当社はダービーも検討し、商機はあると見ていました。しかし、当社はアスコット競馬場との提携を選択しました。主な理由は、アスコット がレースの後援スポンサーだけでなく、通年の事業提携を提案してくれたことです。キングジョージSはベットフェア社の後援レースの中で最も重要なレースと なり、それには大きな責任が伴います。当面スポンサーシップ対象レースを増やすつもりはありません」と語った。
同氏は次のように付言した。「アスコット競馬場の取組みに満足しています。私にとって最も印象的だったのは、アスコットがスポンサー収入だけでなく、はるかに大きな目的を持っていたことです」。
「何よりも先ず、当社は世界屈指の賭事企業です。アスコットは当社を二流の企業と見下さず、後援者として扱ってくれました」。
アスコット競馬場のチャールズ・バーネット(Charles Barnett)場長は、同競馬場がベットフェア社を“二流”ではなく、優良企業であると明言した。同氏は次のように述べた。「ベットフェア社をスポンサーとして迎えることに満足し光栄に思います」。
「キングジョージをスポンサー無しで開催することは難しくはありませんが、それで良いということでもありません。それでは100万ポンド(約1億7000万円)の賞金は実現できません」。
「スポンサー探しにはとても苦労しました。経済が混乱期にあり、おそらくもっと厳しい状況に陥るでしょう。だから、ベットフェア社との提携が重要なのです」。
キングジョージはBBCが2010年以降、アスコット競馬場から中継する8レース中の1つとされている。バーネット氏はまた、自身が10月に参加したアブダビ国際狩猟馬術展示会(ADIHEX)の収穫を新年に明らかにしたいと述べた。
(訳注)アスコット競馬場はその国際戦略としてキングジョージ等のレースをドバイおよび湾岸諸国に向けてアピールするためにADIHEXに参加していた。
By Lee Mottershead
(1ポンド=約170円)
[Racing Post 2008年12月4日「Ascot secures Betfair as King George sponsors」]