英国競馬統括機構(British Horseracing Authority: BHA)は、競走馬研究センターの新設を予定している。競走馬に投与される薬物については、レースにおいては禁止されているが、調教中の一定期間において は合法とされているものがある。この研究センターの主要な目的の1つは、そのような薬物の投与中止期間に関する基礎的な資料を作成することである。
BHAの馬科学・福祉担当理事ティム・モリス(Tim Morris)氏は、「私たちは馬に対する薬物の誤使用や不注意な投与による治療薬物の残留について調査しました。その結果、不注意な投与による薬物の体 内残留がレース日後の薬物検査における陽性反応の原因として最も一般的であることが分かりました」と述べた。
同氏は、「したがって、啓蒙と予防に焦点を合わせて薬物問題に対処します。それは具体的には調教師と獣医師に薬物の体内残留情報を提供し、指導・助言することです」と語った。
薬物投与中止期間に関する研究は以前、ニューマーケット近郊の競馬法医学研究所(Horseracing Forensic Laboratory:HFL)で実施されていた。2007年にHFLが2025万ポンド(約34億4250万円)でベンチャー企業のクオーションバイオ リサーチ社(Quotient BioResearch)に売却された際に、この研究はBHAに引き継がれた。
研究作業はイギリス競馬学校(British Racing School: BRS)の協力を得てBHAが実施する。BRSは、ニューマーケットの新厩舎に、なるべく現役馬に近いレベルの引退競走馬を集める予定である。
被験馬は現役馬と同じように管理され、採取された血液サンプルおよび尿サンプルを検査し、時間を追って薬物残留レベルが調査されることになる。
モリス氏は、研究所は政府による検査の対象となり、研究倫理も第三者機関の審査を受けると述べた。
同氏は次のように付言した。「BHAの嘱託獣医師が馬の福祉について助言します。私たちは研究結果を欧州競馬科学者連絡委員会(European Horseracing Scientific Liaison Committee)を通して他の競馬統括機関と共有します」。
BRSは研究センターの協力の下に、関連する履修コースに薬物規制に関する教科を追加する予定である。
By Howard Wright
(1ポンド=約170円)
[Racing Post 2009年2月25日「Centre to study drug withdrawal times」]