4月19日に終了したサンタアニタ競馬場の84日間の冬・春開催の入場者数がわずかながら増加した。最近の競馬界では珍しく明るいニュースであり、同競馬場の役職員は喜びを隠そうとしなかった。
カリフォルニア州アルカディアにあるサンタアニタ競馬場は、69万7000人を集客し、1日平均入場者数は約8300人であった。2008年の冬・春開 催の入場者数に比べて1%増加した。観客数の増加は、カリフォルニアの主要競馬場では2007年デルマー競馬場の夏開催以来である。
サンタアニタ競馬場のロン・チャールズ(Ron Charles)場長は、「南カリフォルニアの競馬を活気づけることは、サンタアニタ競馬場の責務です。私たちはそれをやり遂げました」と述べた。
チャールズ場長は、同競馬場の冬・春開催の入場者数は、提携先の場外馬券売場15箇所の入場者数(合計61万人)よりずっと多かったと強調し、「私たちにとって競馬場に観客を取り戻すことは非常に重要なことです」と付け加えた。
入場者数増加の主な理由は、新戦術“無料にすれば客は戻ってくる”であった。
同競馬場は、金曜日には入場料無料でボックス席エリアにも入ることのできる“金曜無料プロモーション”を開始した。また、金曜日にはビールやサンドウィッチが1ドル(約100円)になるなど多くの値引きサービスを行った。結果的に金曜日の入場者数は55%増加した。
チャールズ場長は、「金曜無料プロモーションはすぐに功を奏し、増客効果は冬・春開催の間に定着しました。開催の最終金曜日には9040人の観衆が入場し、祝日ではない平日としてはここ数年において最大の入場者を集めました」と語った。
4月4日に施行されたサンタアニタダービー(G1)への入場者数は5万915人であり、同レースは4年連続で5万人以上を集客した。その前に5万人以上 の観客を呼ぶことができたのは、サンタアニタダービーでサンデーサイレンス(Sunday Silence)が優勝した1989年であった。
他方、場内馬券売上げは3%減少し、場外などのすべての発売方法による売上げは12%減少した。チャールズ場長は、「経済不況なのでこれは予測の範囲内です」と述べた。
カリフォルニア州競馬委員会(California Horse Racing Board)のジョン・ハリス(John Harris)委員長は、「サンタアニタ競馬場の入場者数が増えたのを目の当たりにし、励みになりました。彼らが一生懸命取組んだのが分ります。金曜無料 プロモーションは素晴らしかったですし、サンタアニタダービーの日も同様でした。私はその日サンタアニタ競馬場に行きましたが、素晴らしい雰囲気にしびれ ました。これはまさに競馬のあるべき姿です。サンタアニタ競馬場の観客の増加は厳しい時期における希望の光のように思えます」と述べた。
“無料プロモーション”は南フロリダのガルフストリーム競馬場でも功を奏し、同競馬場の冬・春開催では売上げも入場者数も増加した。これら2つの競馬場は、マグナエンターテイメント社(Magna Entertainment Corp.)が所有している。
By Larry Stewart
(1ドル=約100円)
[Thoroughbred Times 2009年5月2日「Santa Anita posts rare attendance increase」]