海外競馬ニュース 2009年07月16日 - No.28 - 1
ジョッキークラブ円卓会議、薬物に焦点 (アメリカ)[獣医・診療]

 ジョッキークラブ第57回年次円卓会議(Jockey Club's 57th annual Round Table Conference)は8月23日にニューヨーク州サラトガスプリングスで開催される。基調講演は国際競馬統轄機関連盟(International Federation of Horseracing Authorities: IFHA)のルイ・ロマネ(Louis Romanet)会長が行う予定であり、同氏は薬物規制(medication policy)に関する国際協調の重要性と必要性に焦点を合わせる意向だ。

 ロマネ氏はIFHAの会長を1993年の創設時より務めており、1998年〜2007年フランスギャロ(France Galop)の事務総長を務めた。IFHAの主要任務は、50カ国を超える加盟国における生産、競走および賭事に関するルールを統合し調整することであ る。

 ロマネ氏の講演は、国内的および国際的な薬物基準に関して1つの結論を示すだろう。

 ジョッキークラブ・サラブレッド安全委員会(Jockey Club's Thoroughbred Safety Committee)のスチュアート・ジャニー(Stuart Janney III)会長は2009年4月に、米国競馬は使用を認める薬物に関して、諸外国と歩調を合わしていないと指摘し、「米国は競走日のサリックス(Salix旧商 品名Lasix)投与に関する規制および治療薬物の使用禁止期間について、諸外国と調整する必要があります」と述べた。

 この円卓会議で予定されている発表・討議の内容は以下のとおりである。

 国内的および国際的な薬物基準に関する議論では、(1) インディアナ州競馬委員会(Indiana Horse Racing Commission)の専務理事で以前北中米競馬委員会協会(Association of Racing Commissioners International)の会長を務めたジョー・ゴラジェック(Joe Gorajec)氏が規制プロセスの概要について発表し、(2) ジャニー氏がサラブレッド安全委員会の進捗状況報告と新たな勧告を説明する。

 また、アメリカ馬開業獣医師協会(American Association of Equine Practitioners)の競馬調査特別委員会(Racing Task Force)の会長であるスコット・パルマー(Scott Palmer, D.V.M.)博士は、獣医師の立場から薬物に関する意見を述べ、デイリーレーシングフォーム紙(Daily Racing Form)の発行人兼会長のスティーヴン・クリスト(Steven Crist)氏は、サラブレッド競馬の薬物問題に対する賭事客、大衆、メディアの見方を発表する。

 会議の前半は、サラブレッドの競走後のケアについて焦点を合わせる。ジョッキークラブの登録担当副理事長マット・ユリアーノ(Matt Iuliano)氏はジョッキークラブの入れ墨番号識別と引退馬の照合プログラムに関する最新情報を発表し、サラブレッド引退馬基金 (Thoroughbred Retirement Foundation)の専務理事ダイアナ・ピカルスキー(Diana Pikulski)氏は同基金の職業訓練プログラムについて意見を述べる。

 馬の健康に関する講演では、メイン大学(University of Maine)のミック・ピーターソン(Mick Peterson)博士が馬場表面検査研究所(Racing Surfaces Testing Laboratory)の最新情報を発表する。全米サラブレッド競馬協会(National Thoroughbred Racing Association)の安全・公正に関する同盟(Safety and Integrity Alliance)の専務理事マイク・ジーグラー(Mike Ziegler)氏は経過報告を行う。

[thoroughbredtimes.com 2009年6月30日「Romanet to focus on medication at Round Table」]