2010年1月1日に発効する英国の付加価値税(VAT)制度の変更は、英国のサラブレッド生産界の取引において税の負担をかなり軽減することになる。
現在の法制度では、英国在住者による競走馬の売却には付加価値税が課され、購買者の拠点あるいはどこで馬が繋養されているかは関係ないとはっきりと規定 されている。したがって、例えば英国の事業者が、オーストラリアで調教されている馬の所有権をフランスの事業者に売却する場合には、英国の付加価値税が課 されている。
しかし2010年には、事業者が英国在住かどうかということではなく、購買する事業者が所属する国で課税が行われる。従って、この事例のように英国の事 業者が他国の事業者へ競走馬の所有権を売却する場合には、英国では付加価値税が課されず、フランスで課税されることになる。
もう1つの変更は、種付料の現状に関するものである。すなわち、現在は、繁殖牝馬が英国以外のEU加盟国在住者の所有で、種付シーズンに英国に送られ種付が終わってからも英国に繋養されつづける場合、その種付料に英国の付加価値税が課されている。
しかし2010年からは、この事例の場合、英国の事業者による他国の事業者への種付権利の供与に、英国の付加価値税は課されない。英国の獣医師による他国の事業者に対するサービス提供に対しても、2010年からは英国の付加価値税が課されることはない。
いずれの状況においても、“購買者”が自身の国へ付加価値税を納めることになる。そして、英国の販売者は、四半期ごとに海外の事業者への販売内容を記述しECに提出することになる。
法律のもう1つの目立った修正は、“英国の事業者は、関係する他国の税務局を介してではなく、電子上で英国歳入関税局(HM Revenue and Customs)を通じて英国外の付加価値税を要求できるようになること”である。
ジェームズクーパー社(James Cowper)の競馬関連会計部長のテリー・ドクレー(Terry Dockley)氏は新たな法律を歓迎し、次のように述べた。「この変更は、国際取引において付加価値税が障害になることを防ぐとともに買い手および売り 手のキャッシュフローを改善し、英国のサラブレッド生産事業を援助するでしょう」。
By Martin Stevens
[Racing Post 2009年11月5日「Industry will benefit from VAT changes」]