海外競馬ニュース 2009年12月24日 - No.51 - 2
騎手組合、負担重量に関する 基準ルールの採用をアピール(アメリカ)[開催・運営]

 騎手組合(Jockeys’ Guild)のメンバーは、騎手の最低負担重量の引上げに関する新しい基準ルールの採用をアピールするため、州の競馬統括者が集まる会合に出席することを予定している。

 北中米競馬委員会協会(RCI)の理事会は、見習い騎手を除くすべての騎手への最低負担重量を118ポンド(約53.5 kg)とする基準ルールを可決した。RCIの基準ルールは競馬統括者へ勧告し、競馬統括者はこれを基に各州で実施措置を決定する。

 騎手組合のメンバーたちは12月7日の騎手組合全国集会において、「RCIの会合に出席し、全国的に基準ルールが採用されるよう求めるつもりです」と述べた。

 RCIの基準ルール・実施委員会(Model Rules and Practices Committee)のラリー・エリアソン(Larry Eliason)委員長は12月7日、基準ルールの作成過程とこれらのルールを州レベルで採用するプロセスを説明するために騎手組合の全国集会に出席し た。同氏は、現役騎手たちがRCIの会合に出席すれば、引退した騎手組合の地域代表が出席するよりも強い影響力があるだろうと語った。

 エリアソン氏は現役騎手たちに対し、「プログラムの出席者リストにあなたがたの名前が記載されていれば、RCIメンバーへの説得力は倍増するでしょう」と述べた。

 全米ホースマン共済協会(National Horsemen's Benevolent and Protective Association: HBPA)のCEOレミ・ベロック(Remi Bellocq)氏も、騎手組合の全国集会に出席した。同氏は、HBPAが変更に賛成するにいたるまで、グループ内で長時間を割いてこの問題を議論したこ とを否定しなかった。騎手組合のテリー・ミックス(Terry Meyocks)事務局長は、騎手の負担重量問題に対するHBPAの支持に感謝の意を述べた。

 ベロック氏は、「最終的に、騎手が受ける恩恵に関する重要な論点は、この新しい負担重量基準が熟練した騎手たち何人かの職歴を5年〜10年延長させるということです。ホースマンは経験豊富な騎手に有利な措置を取るのは良いことだと思っています」と指摘した。

 騎手組合、RCIおよびHBPAはいずれも、アリゾナ大学競馬産業プログラム(University of Arizona’s Race Track Industry Program)が12月7日〜10日に開催する競馬&ゲーミング・シンポジウムに先立ち、またそれと連携し、アリゾナ州ツーソンで会合を開催している。

 負担重量基準についてホースマンと騎手が合意に達した一方で、HBPAは、ホースマンと騎手との契約あるいは合意なしに騎乗料基準の制定を競馬統括者に 要求する新たな基準ルールの可否について議論することを計画している。なお、HBPAのジョー・サンタナ(Joe Santanna)会長はシンポジウムにおいて、騎乗料の値上げによる経済的影響についての研究を発表する予定である。

 RCIはまた、騎手の前検量・後検量に関する基準ルールを可決した。

 12月7日の騎手組合の会合において、メンバーたちはキーンランド協会(Keeneland Association)のニック・ニコルソン(Nick Nicholson)会長の競馬産業の一致団結を求める発表に聞き入った。

 ニコルソン会長は、「私たちはカリフォルニア州、ニューヨーク州およびケンタッキー州で賞金額が減少しているのを目のあたりにしています。これは競馬に とって好ましいことではありませんし、生産やセリ市場にとっても好ましいことではありません。私たちはこれまでにないほど競馬産業内で団結しなければなり ません」と語った。

 ロビー・アルバラド(Robby Albarado)騎手は、「ニコルソン会長やフェアグラウンズ競馬場のオースティン・ミラー(Austin Miller)場長のような友好的な競馬場役員たちは、私達とのコミュニケーションを円滑にする雰囲気を作り出しています」と賞賛した。

 アルバラド騎手は、「ニコルソン氏とミラー氏は、ジョッキールームに入ってくるのを見かけたことのあるたった2人の競馬場の場長です。彼らのような人を 増やしたいものです。私はジョッキールームでチャーチルダウンズ競馬場の場長に会ったことはありませんし、名前さえも知りません」と語った。

 なお、マローヴィッチ・オシェア&コグラン保険サービス社(Maroevich O'shea & Coghlan Insurance Services)のサラブレッド競馬部門のジョン・ユニック(John Unick)本部長は、騎手の個人保険の問題および競馬場が負担する致命傷の補償範囲について、いくつかの競馬場がまだ50万ドル(約5000万円)であ るが大半の競馬場は100万ドル(約1億円)の補償を行っており、デラウェアパーク競馬場にいたっては200万ドル(約2億円)の補償を行っていると述べ た。

 騎手たちは、どの競馬場でどのような方針を取っているかについてより多くの情報を求めた。騎手組合のミックス事務局長は、それらの情報を得て発表できる機会があるだろうと述べた。

 また、ターフ・パブリシスツ・オブ・アメリカ社(Turf Publicists of America)の会長であり、リバーダウンズ競馬場の宣伝担当のジョン・エンゲルハート(John Engelhardt)氏は、騎手たちから好評を得ていた“ジョッキー・トレーディングカード(写真付きデータカード)”を騎手組合メンバーのために新し く作る提案について要点を述べた。

By Frank Angst
(1ドル=約100円)

[thoroughbredtimes.com 2009年12月7日「Guild plans to push model rule on weights at local level」]