海外競馬ニュース 2009年02月26日 - No.8 - 3
南オーストラリアの馬産地、 火災を免れる(オーストラリア)[その他]

 2月7日にオーストラリア各地で発生した猛烈な火災は、馬産の中心地には深刻な被害を及ぼさなかったようだ。主だった生産地は2007年のシーズンに馬インフルエンザが発生し、ほぼ壊滅的な打撃を受けたので、競馬産業は今般の災難を免れ、安堵の胸を撫で下ろしている。

 ヴィクトリア州全土で荒れ狂い、130名の犠牲者を出した火災を、ジュリア・ギラード(Julia Gillard)副首相は「信じがたく、前例のない、全く言葉では言い表せない災害」と表現した。同州には、アダム・サングスター(Adam Sangster)氏のスウェテナム牧場(Swettenham Stud)があり、ダーレー・オーストラリア社(Darley Australia)が1100エーカー(約440 ha)の土地を所有している。

 しかしオーストラリア・サラブレッド生産者協会(Thoroughbred Breeders Australia)のジョン・メッサラ(John Messara)会長は、火災はヴィクトリア州の主要な牧場にはほとんど被害を与えなかったと述べた。しかし、同氏は次のように付言した。「サラブレッド生産事業への影響を正確に分析するには、もう少し時間が必要です」。

 同氏はレーシングポスト紙に次のように語った。「サラブレッド資産を持つ多くの牧場のほとんどは無事なようです。火災の発生地域は、ヴィクトリア州の一流牧場のほとんどが集中しているナガンビー(Nagambie)から遠くありませんでしたが、そこへの延焼はありませんでした。そこで、大半の牧場の厩舎スタッフはボランティアとして地域の消火活動などに参加しています」。

 メッサラ会長は、生産者で調教師でもあるクリフ・ブラウン(Cliff Brown)氏は、ヴィクトリア州のナーベソング(Narbethong)に及んだ火災で自身の住居と納屋を失ったが、牧場の馬房1つあたりに3頭を詰め込みホースで水を撒き火の浸入を食い止めることで、すべての馬を助けることができたと語った。

 オーストラリアの商業的な馬産地が集中しているニューサウスウェールズ州では、火災は人里離れた地域と農村地域に被害を与えた。スコーン(Scone)の馬産の中心地から2時間ほど離れたワイボン(Wybong)で346エーカー(約138.4 ha)が森林火災の被害を受けた。しかし、スコーンのアローフィールド牧場(Arrowfield Stud)の場長も務めるメッサラ会長は、火の手は牧場の近くにまでは及ばなかったと述べた。

 同氏は以下のように語った。「アローフィールド牧場では、森林火災の熱波は馬に大きな影響を与えませんでした。2月7日に少し脱水状態になっている当歳馬が1頭いましたが、水分を与えられたので今では元気です」。

 「このような記録的な真夏日が続いているのに、母馬と仔馬が木の下や日よけの下よりも炎天下で長時間を過ごしていることは意外です。私たちはすべての水桶を満タンにするようにしています。夜間の気温が心地よいおかげで馬は救われています。その点については幸運でした」。

 同氏は次のように付言した。「メルボルン・プレミアセールとイングリス・イースターセールに上場予定の1歳馬については、午後の調教を減らして直射日光を避け厩舎に入れています。種牡馬は、日中を天井に扇風機のついた馬房で過ごさせ、夜の7時ぐらいに放牧に出しています」。

By Rachel Pagones

[Racing Post 2009年2月10日「Southern Australian studs escape the worst of the forest bushfires」]