米国ベットフェア社(Betfair USA)のジェラード・カニンガム(Gerard Cunningham)社長は、現在まで事実上独立していた米国事業での細目にわたる戦略見直しを受けて、インターネット上のベッティング・エクスチェンジ事業でトップの座を占めるベットフェア社(Betfair)を退職した。
ベットフェア社の取締役であるマーク・デイヴィーズ(Mark Davies)氏は3月3日、カニンガム氏は米国の事業を英国とより密接に結合するための決定が行われた後、会社との同意により退職したと述べた。
カリフォルニア州出身のカニンガム氏は2008年にベットフェア社に入社し、2009年に競馬・賭事チャンネルのテレビジョン・ゲームズ・ネットワーク社(Television Games Network: TVG)を5,000万ドル(約50億円)で買収するにあたっては指導的役割を担った。
この買収は、ベッティング・エクスチェンジが違法とされている米国で、賭事法の自由化に乗じるための有利な立場にベットフェア社を立たせた。TVG社はまた、自宅でくつろぎながら競馬を楽しむ顧客に競馬場の賭事プールへの賭けを可能にし、米国内の3,000万戸に生の競馬映像を配信する重要な存在である。
以前ベットフェア社の競馬部長を務めていたスティーブン・バーン(Stephen Burn)氏が現在TVG社の運営を担当しているので、カニンガム氏の後任はいないように思われる。
ベットフェア社の社員に向けた内部声明によると、カニンガム氏はTVG社買収により同社の米国での競馬事業部門を構築し、賭事産業のリーダーたちとの関係改善のために“特筆すべき進歩をさせた”ことで、高い評価を受けている。
カニンガム氏はまた、大規模なファンタジーゲーム事業を持つゲーム企業であるウォータークーラー社(Watercooler)への投資を指揮し、サンフランシスコ支社を開き、インターネットに精通した専門家チームを雇用し、“ポーカーと競馬のエクスチェンジ事業を研究し参入するために多大なる努力を行った”。
内部声明は、次のように付言している。「カニンガム氏と多くの米国のリーダー達による詳細な戦略見直しの結果、競馬が米国ベットフェア社の戦略の主要な部門であることおよび米国競馬と技術チームは英国事業と一体化させることが決定されました。戦略上のこれらの変更をうけて、カニンガム氏は米国ベットフェア社の社長の職を辞して、別の可能性を追究することを決めました」。
デイヴィーズ氏は、「カニンガム氏は、私たちが米国の事業を英国により近いものにすることを検討していることが背景となって退職しました」と語った。
By Graham Green
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[Racing Post 2010年3月4日「Betfair USA president leaves post after change in strategy」]