海外競馬ニュース 2010年07月08日 - No.27 - 2
競馬界は賞金大幅削減に対して奮起しなければならない(イギリス)[開催・運営]

 競馬界は、2011年において賦課金からの賞金支給額の1,300万ポンド(約18億2,000万円)削減に直面することが5月25日に明らかになった。

 競馬賭事賦課公社(Levy Board:賦課公社)は当初2011年のために6,100万ポンド(約85億4,000万円)を充てることとしていたが、現在では4,800万ポンド(約67億2,000万円)を充てる予定であり、これは20%以上の減少となる。

 馬主、調教師、騎手、厩舎スタッフその他の関係者を動揺させるこの見通しは、5月25日、イギリス競馬場協会(Racecourse Association: RCA)の会長であり、賦課公社のメンバーであるイアン・バーロー(Ian Barlow)氏により明らかにされた。

 2009年にRCAの会長となったバーロー氏は、2009-10年度の7,700万ポンド(約107億8,000万円)という数字について、大口馬券購入者によって賦課金収入が1億1,500万ポンド(約161億円)に上った2007-08年度の状況と比較した。

 バーロー氏はまた、賦課公社の積立金は年末までに4,000万ポンド(約56億円)以下となることが予測され、これは3年前の半分以下であり、“収入における短期的な変動に対処するためにいくらかの現金投資と流動性投資を維持する必要性を前提とすると”、少なくとも2011年4月まで競馬場への新たな融資はできないだろうと述べた。

 バーロー氏は次のように説明した。「賦課公社から支出される競馬の公正化と規制のためのコストは削減しにくいことから、結果として、とりわけ開催奨励金や賞金などの支出項目において厳しい削減がなされました」。

 「これが現在の賦課金の現実です。賦課金は、英国のベッティングショップ全体が減少しつつある中で、他の賭事機会に市場シェアを奪われている“競馬”という商品に結びついているからです」。

 賞金削減の競馬場への影響は、RCAのCEOであるスティーヴン・アトキン(Stephen Atkin)氏により説明された。収益性の悪いと思われる日に競馬を開催するよう競馬場に促す今年の奨励日程計画に、最終的に拠出する250万ポンド(約3億5,000万円)という数字は、当初合意されていた600万ポンド(約8億4,000万円)を58%下回ると同氏は述べた。

 そして次のように語った。「これは賦課公社がその継承のため、競馬界の各方面からの要求に対してできる最善の結果です」。

 「私たちは、競馬場が、この奨励金額の削減分の全部とまでは言いませんが、かなりの部分を疑いなく賞金削減に向けざるを得なくなると思います」。

 同氏は来年に関して、「開催奨励金が増加する見込みはほとんどありません」と付け足した。

 奨励金は、競馬変革プロジェクト(Racing For Change)の一環として2011年に導入予定であるプレミア開催(premier fixtures)のために充てられるだろう。そしてそれらを支援するために150万ポンド(約2億1,000万円)が中央基金から拠出されたと同氏は述べた。

By Howard Wright
(1ポンド=約140円)

[Racing Post 2010年5月26日「Racing will have to brace itself for 13m pounds hit」]