英国競馬のテレビ視聴者にとっての2大イベントであり、BBCの縮小対象中継リストに入っているグランドナショナルと英国ダービーは、少なくとも2014年までは無料で中継され続けるだろう。
このことは、最重要スポーツイベント保護リストの変更を勧告した前労働党政権の報告書を政府が却下したことをうけて、明らかとなった。
地上アナログ波で行っているグランドナショナルの実況中継については、前英国サッカー協会会長のデヴィッド・デーヴィーズ(David Davies)氏が議長を務めた委員会の勧告に基づいて続けられるだろう。
しかし、改造内閣がリストを作り直し、ゴルフの全英オープンや英国で開催されるクリケットの対豪州テストマッチがリストに加えられるかもしれない一方で、もはや“国民的な反響”を得ないとされる他のいくつかのスポーツイベントとともに、英国ダービーはリスト落ちするかもしない。
新しいスポーツ・オリンピック大臣であるヒュー・ロバートソン(Hugh Robertson)氏は7月21日、スポーツイベントの無料中継リストを見直す決定はデジタル放送への切り替え完了まで延期されたと発表した。
同大臣は次のように説明した。「私は重要スポーツイベントの無料中継を保護する方針を全面的に支持します。2012年に完了するデジタル放送への切り替えで、視聴可能なテレビチャンネルは大幅に増加し、そのうちの多くは無料となるでしょう」と説明した。
「このことに加えて、スポーツの映像権を含むBBCの戦略見直しやオフコム(Ofcom 英国情報通信庁)の有料テレビの見直しがありますので、リスト見直しの決定に向けた放映をめぐる事情はますます見通しにくくなっています」。
ロバートソン大臣は、政府はグランドナショナルと英国ダービーを含む新しい契約が締結され実行に移される期限の2013年には、この課題を再検討するだろうと付言した。 BBCおよびチャンネル4と2012年末までの契約を結んでいるジョッキークラブは、グランドナショナルとダービーの映像権を競争入札にかけることができるようスポーツイベント保護リストから完全に除かれることを望んでいる。
ジョッキークラブのCEOサイモン・バザルゲット(Simon Bazalgette)氏は、「私は、この課題が政治的に扱いにくい問題なので今回の政府の決定には驚いていません。しかし、スポーツの利益のためには、政府がリストを撤廃してしまうほうがよほど良いと思います」と語った。
中継が無料放送されているスポーツイベントリスト
オリンピック、FIFAワールドカップ、欧州サッカー連盟(UEFA)欧州選手権、英国サッカー協会カップ決勝戦、スコットランドカップ決勝戦(スコットランドのみに適用)、グランドナショナル、英国ダービー、ウィンブルドンテニス選手権、ラグビーリーグチャレンジカップ決勝戦、ラグビー・ワールドカップ決勝戦。
By Howard Wright
[Racing Post 2010年7月22日「Derby and National stay free to air until 2014」]