競馬界の一番の敵である海外賭事業者のうちの1社は7月30日、他の海外賭事業者に対して競馬への自主的な拠出を行うよう促した。
スポーティングベット社(sportingbet.com)のCEOアンドリュー・マッカイバー(Andrew McIver)氏は、競馬産業への支払いに関する論争に加わり、海外のタックスヘイブンから英国競馬を対象にした賭事を行えるようにすることと引き換えに自主的拠出がなされれば、怒りの多くは収まるだろうと予測した。
マッカイバー氏は、「各社はそれぞれの考えで対応する資格がありますので、他の海外賭事業者に勧告するつもりはありませんが、もしすべてのブックメーカーが私たちと同じ方針をとったとすれば、現在競馬界と賭事産業との間に渦巻いている悪い感情の多くが取り除かれることは確かでしょう」と述べた。
スポーティングベット社は2007年にチャンネル諸島に事業を移転したが、2009年に、英国競馬への賭事からの粗利益の10%に相当する額を競馬賭事賦課公社(Levy Board: 賦課公社)に自主的に拠出する3年間の協定を発表した。同時に、馬主協会(Racehorse Owners’ Association: ROA)の毎年恒例の賞へ資金提供することにも合意した。
マッカイバー氏は、ベッティング・エクスチェンジ賭事客のすべてに自主的拠出が強制されるのであれば自分たちも同じ行動をとるというビクターチャンドラー社(Victor Chandler)の7月29日の提案に応えて、次のように付け足した。「私が知る限り、私たちは、英国競馬を対象とした賭事からの粗利益の10%に相当する自主的な賦課金拠出を行っている唯一の海外拠点賭事業者です」。
「これは、私たちがROAの毎年恒例の授賞式のスポンサーとなることに同意した際にROAと結んだ取決めです。賦課金を支払わないブックメーカーと比べれば明らかに不利となっていますが、私たちはこの取決めを守っています」。
「これからも私たちにとって重要であり続ける英国競馬への賭事を受け付けるという名誉のために負担を行っていることに、私たちは誇りを持っています」。
ビクターチャンドラー社の提案に対し、ラドブロークス社(Ladbrokes)、ウィリアムヒル社(William Hill)およびスタンジェームズ社(Stan James)などの他の海外を拠点とする賭事業者からの追随はまだない。スタンジェームズ社のスポークスマンであるチャーリー・マキャン(Charlie McCann)氏は、英国競馬を支持するという意思に変わりはないと述べた。
また、マキャン氏は次のように語った。「私たちは、英国および世界の競馬の関係者すべてにとって困難な時期であると心得ていますが、商業協定とスポンサーシップを通じて英国競馬を支援し続けます」。
「私の知る限りでは、ビクターチャンドラー社が私たちに接触してきたことはありませんが、英国競馬の資金調達に関するBHA(英国競馬統轄機構)と政府との間の話し合いの進展を見守っています」。
ウィリアムヒル社CEOのラルフ・トッピング(Ralph Topping)氏は、競馬界が海外ブックメーカーに賦課金を支払わせるために苦心していることに対し、最も声高に非難してきた。そして、政府だけではなく賦課公社のブックメーカー委員会(Bookmakers’ Committee)もこの問題に懸命に取り組む必要があると発言したあとで、BHAのCEOニック・カワード(Nic Coward)氏を引き続き非難した。
トッピング氏は、「ベッティング・エクスチェンジに関し2011/2012年度賦課金計画に対して行われた勧告について、カワード氏はブックメーカー委員会とウィリアムヒル社の職員をあげつらいました」と語った。
同氏は次のように付言した。「私たちウィリアムヒル社の立場はすでに発表済みですが、賦課公社の協議に対する回答の中で改めて述べるつもりです。それは、事業としてベッティング・エクスチェンジ賭事を行う顧客は、賦課金を今すぐに支払わなければならないということです」。
By Tony Smurthwaite
[Racing Post 2010年7月31日「Sportingbet chief advocates voluntary payments」]