ホースメングループ(Horsemen’s Group)のポール・ディクソン(Paul Dixon)会長は8月13日、競馬産業の派閥間の利害関係が競馬変革プロジェクト(Racing For Change: RFC)の実効を妨げていることを否定し、それはまさに競馬の深まりつつある財政危機に原因があると主張した。
ディクソン会長は、RFCによってもたらされた発展はこの状況下においては驚くべきものであると主張し、資金不足が“良いアイデア”の実現を妨げたと語った。
同会長は、「RFCは、疑いなく競馬産業をよい方向に導く力になります」と語った。
「もちろんまだ私たちが望んでいた進展は達成していませんが、これは単に、ますます乏しくなっている競馬の財政状態のせいです。競馬の体制に問題があるのではなく、すべてお金に起因しているのです」。
馬主、調教師、騎手、厩務員および生産者を代表する団体のトップであるディクソン会長は、RFCが競馬産業の減少しつつある財産を増強するために決定的な行動をとるのに大きな障害となっているのは、競馬界のリーダーシップを欠いた体制であるとした8月13日付のレーシングポスト紙の記事に応えて自身の意見を述べた。
同会長は、RFCが具体的な結果を出せていないことは、競馬賭事賦課公社(Levy Board: 賦課公社)の予算が2010年に2,450万ポンド(約34億3,000万円)減少したことに見られる競馬界の財源の激減に原因があると主張する。
「私たちに欠けているのは良いアイデアでも、それを実現に移す方法でもありません。欠けているのは実現のための資金です。現在計算中ですが仮に2,000万ポンド(約28億円)がある産業から消えてしまったとき、人々が先ず考えるのは、経営自体を維持していく方法であり、より良い方法で販売促進を行うことではありません。このような状況下で前進できたのは驚くべきことです」。
同会長は次のように付言した。「新しい競馬産業の体制の基盤が、競馬場とホースメングループの関係の上に作り上げられているのは適切なことです。論理的に見ても、これこそが競馬界が行っていくべきやり方であり、現在この方向で、BHA(英国競馬統轄機構)から積極的に後押しされながら進められています。しかしこれは進化し続ける体制なので、現時点ではBHAがとりわけ賦課金について中心的役割を演じることを必要としています」。
一方、RFCの企画担当理事であり、業界横断的団体であるレーシング・エンタープライズ社(Racing Enterprises Ltd.)のロッド・ストリート(Rod Street)社長は、非常に多くの異なった利害関係者の存在が大胆な提案の追求に不利に働いていることを認めた。
ストリート氏は、「故スタンリー・クラーク(Stanley Clarke)会長は、“もし欲しているものが手に入らないのであれば、今あなたが有しているものを大切にすることが最善の方法である”という助言をくださいました。この哲学は、競馬界が選択した体制でもある“競馬の多様性のある体制”に対する私の方針を総括しています」と語った。
同氏は次のように付言した。「私たちは通常、何かを達成しようとするときに協力して行いますが、その速度は時にフラストレーションを起こさせることがあります。もし競馬に利益を与えるためより良くそしてより速く計画を実行する方法があるとすれば、私たちはそれを捜し求めるべきです」。
By Graham Green
(1ポンド=約140円)
[Racing Post 2010年8月14日「Dixon: racing lacks money, not good ideas」]