フランスギャロ(France Galop)のエドゥアール・ド・ロトシルト(Edouard de Rothschild)会長は、10月2日夜にパリで行った基調演説において英国の新しいチャンピオンズデーのプログラムを公的に認め、悪戦苦闘した結果の改革に対してフランスから更なる批判を受けることを恐れていた英国競馬の多くの上級役員たちを喜ばせた。
凱旋門賞およびIFHA(国際競馬統轄機関連盟)の会議のために集まった世界でトップクラスの競馬統轄者を含む聴衆を前にしたパーティでのスピーチで、ロトシルト会長は、「10月中旬にアスコット競馬場で開催される大規模な開催を英国の友人たちが創設したことについて、私がどれだけ歓迎しているか繰り返したいと思います」と語った。
しかし同会長は、さまざまな競馬統轄機関同士やヨーロッパ・パターン競走委員会(European Pattern Committee)との交渉について言及しつつ、「ただ、この創設がヨーロッパの既存の他の主要レースの不利益とならないよう、まずお互いに相談し、話し合うことが重要です」と付け足した。
そして次のように語った。「私たちはこれまで長い道のりをともに歩んできましたので、この協力関係を続けていかなければなりません」。
「私たちがドイツやイタリアの競馬の回復を望んでいるのと同じように、英国競馬の繁栄も私たちフランスにとって重要です。私たちは皆、同じボートに乗っている運命共同体です。したがって英国の取組みの邪魔をすることはフランスの利益にはなりませんので、このことをみんなに明らかにしなければなりません」。
英国の役員たちはロトシルト会長の公的な支持に勇気付けられた。その中には、BHA(英国競馬統轄機構)のポール・ロイ(Paul Roy)会長やCEOニック・カワード(Nic Coward)氏、そしてロトシルト氏の同族会社の投資銀行家でチャンピオンSをニューマーケット競馬場からアスコット競馬場に移行させる決定に大きな役割を演じた、ジョッキークラブの上席裁決委員ニコラス・リグレー(Nicholas Wrigley)氏が含まれていた。
ロイ氏は、「私はロトシルト会長の肯定的なコメントを聞いて喜んでいます。私たちは4ヵ月間あらゆる人と相談してきました。困難に思えることも時々ありましが、目標に到達することができました」と語った。
他の話題では、競走に関するルールの国際的な統一への動き、とりわけ進路妨害について、ロトシルト会長は、フランスが世界の他の競馬統轄機関の大半とすぐに協力関係を築くという方向での示唆はほとんど行わなかった。
2009年のヴェルメイユ賞でのダーレミ(Dar Re Mi)の事例において大きな議論を巻き起こしたフランスのルールでは、勝馬を是々非々で降着にさせる傾向があるが、他の多くの主要競馬国は勝馬に相応しい馬には罰則を科さない体制へ移行している。
しかしロトシルト会長は次のように述べた。「フランス競馬の利害関係者の間には、フランスのやり方の一般的な基準を維持することに賛成する強いコンセンサスがあります」。
「この立場は、ヨーロッパのどの国よりもフランスが独特な賭事を提供していることに対応しています。フランスでは1着から5着までの実際の着順を的中させる一連のエキゾチック馬券が支配的であるのに対し、他の国では単勝馬券が最も人気を博しています」。
同会長は次のように付言した。「私は、国際レベルでのルール統一は対話を通じてのみ成し遂げられると確信しており、その結果、すべての情報は最良の状態で自由に流れ、時間が経てばあらゆる見解が一つにまとまるのです」。
英国とフランスの裁決委員の間の直接対話は、11月中に行われることが予定されているが、競走に関するルール統一に取り組んでいる国際的なグループが2日にわたって行う話合いにおいて、フランスは進路妨害のルールに関して孤立するかもしれない。
By Howard Wright
[Racing Post 2010年10月4日「British delight as French back Champions move」]