海外競馬ニュース 2010年02月11日 - No.6 - 2
ニューヨーク州知事、アケダクト競馬場のゲーミング業者を指名(アメリカ)[その他]

 長く待ち望まれてきたニューヨーク州アケダクト競馬場のゲーミング業者の選定がついに完了した。

 デヴィッド・パターソン(David Paterson)知事は1月29日、アケダクト・エンターテイメント社(Aqueduct Entertainment Group: AEG)が、州南部のアケダクト競馬場でスロットマシン4500台を運営する30年契約を落札したと発表した。

 AEGは資金繰りに苦労しているニューヨーク州に何百万ドルもの新たな税収入をもたらし、同州のサラブレッド産業にとって大きな後押しとなるだろうと期待されている。もっとも重要な点は、AEGはレーシノがインターネット上で運営可能となる前にもNYRA(ニューヨーク競馬協会)が運営を続けるための財源(前払金)を出すことになるので、この1月29日の決定により、競馬が中止となる恐れを回避できる点である。

 パターソン知事は、「AEGには、財政力も要求される運営免許料を前払いする能力もあります。AEGは評価プロセスで出されたすべての要求に応じ、運営免許の供与に関するすべての事柄に順調に対処しました」と語った。

 同知事は、「入札を希望したすべての企業が効果的な提案をしましたが、AEGは、地域の支持が得られる強力な販売アピールのある包括的な入札を表明しました」と付言した。

 NYRAはレーシノ収益の7%を控除することを予定している。4%が改善費、3%が運営費に充てられる。NYRAはすでに、老朽化しているサラトガ競馬場について今後数年間で地元の建設業に多大な経済的価値を生むであろう1億ドル(約100億円)に相当する改修計画を発表している。

 改修計画には、新しいレストラン、新しい厩舎地区の厩舎スタッフの寮、グランドスタンドの配管工事や電気工事などの大規模な基盤整備が含まれている。

 NYRAの理事長でCEOであるチャールズ・ヘイワード(Charles Hayward)氏からのコメントは得られなかった。

 AEG の広報担当デーヴィス・ホッジ(Davis Hodge)氏は、AEGは州との覚書に署名した6ヵ月以内に、3000台のスロットマシンの設置を予定していると述べた。残りの1500台は1年以内に運営可能となるだろう。

 ラスベガスのMGMグランド(MGM Grand)ホテルの前会長ラリー・ウルフ(Larry Woolf Sr.)氏はAEGの主要パートナーの1人であり、現在、オンタリオ州ナイアガラフォールズにあるカジノナイアガラ(Casino Niagara)を運営するナベガンテ社(Navegante)のトップを務めている。

 パターソン知事の予算案は、落札者から少なくとも約2億ドル(約200億円)の最低前払い金を州に納めるように要求していた。しかし、議会の議長を務めるシェルドン・シルヴァー(Sheldon Silver 民主党マンハッタン選出)氏は1月29日、もし前払金が3億ドルにまで増加しなければ、パターソン知事の選択を支持しないと述べていた。

 1億ドル(約100億円)の追加金を提供するかどうかについて、AEGからのコメントは得られなかった。

 AEGはゲーミング運営権を求める企業5社のうちの1社であった。その他の入札企業は、サラトガ・ゲーミング&レースウェイ社(Saratoga Gaming & Raceway)と提携しているデラウェアノース社(Delaware North Companies)、MGM社(MGM)と提携しているピーブルズ社(The Peebles Corp.)、SLグリーン・リアリティ・トラスト/ハードロック・エンターテイメント社(SL Green Realty Trust/Hard Rock Entertainment)およびペンナショナル・ゲーミング社(Penn National Gaming)であった。

 リンダ・ライス(Linda Rice)調教師は、ニューヨーク競馬が正しい方向へ一歩踏み出したと捉え、1月29日の発表を歓迎した。多くの生産者は、実入りの良い新しいレーシノによって高額の賞金を提供するペンシルヴァニアに惹きつけられ、ニューヨークから移動していた。

 ライス調教師は、「少なくとも前進できることに喜んでいます。彼らが最終的に指名を行ったことを聞いて安心しました。私たちはすでに非常に長い間待ってきました。馬がニューヨークに戻ってくるように希望を持っています」と語った。

 しかし、サラトガスプリングスを拠点とする著名なホースマンであるジャック・ノールトン(Jack Knowlton)氏は、「これまでの経緯を考えれば、まだこれで一段落したわけではないと思います」と述べた。

 ペンナショナル社は1月27日、パターソン知事を激しく非難し、州が途中で選定プロセスのルールを変更したことを告訴した。ペンナショナル社は3億100万ドル(約301億円)の前払い金を提案し、目に見えて高値をつけた入札者であった。何人かの立会人は、1社かそれ以上の企業が州を相手に訴訟を起こすかもしれないと予測した。

By Paul Post
(1ドル=約100円)

[thoroughbredtimes.com 2010年1月29日「Paterson names Aqueduct gaming operator」]