出馬投票制度の悪用に対する当局の捜査で、3人の調教師が、出走取消を自己申告する権利をBHA(英国競馬統括機構)に取り上げられることとなった。
2月21日のBHAの理事会において、これらの調教師に対する12ヵ月間の業務停止処分が承認される予定であり、同時に、馬の出走を故意に取り消すことに対する罰則の強化が議題に入っている。
出走取消の自己申告ルールは、調教師が48時間ルール(48時間前出馬投票制度)を受け入れたことへの見返りとして、2008年3月に採用された。
しかしその後ずっと、いくつかの厩舎が自身に有利になるようその手順を悪用しているという根強い疑惑が存在していた。
とりわけ、枠順が重要な要素であるチェスターやビバリーのような競馬場においては、非常に多くの出走取消馬が見られ、簡単に出走を取消したあと2〜3日後に再び出走する馬も非常に多かった。
BHAは2010年、多くの出走取消馬を出している調教師に書簡を送付し、この状況は容認されるものではないと警告したが、データを更に分析した後、BHAの競馬委員会(Racing Committee)はその生ぬるい対応にしびれを切らし、最もひどい違反者に対しより厳格な対応をとることを決めた。
ブラックリストに入っている3人の調教師がこの業務停止処分に対し異議申し立てをすることができるかどうか、また彼らが今後さらに計画されている制裁をすでに通知されているかどうかは明らかではないが、BHAは、今回の新しい強硬なスタンスが最終的にこの問題の解決の方向につながることを望んでいる。
調教師、騎手および馬主は、馬が全能力で走ることを故意に妨げて有罪となれば業務停止処分を受けるということは既に認識している。しかしBHAの役員たちは、競馬界全体へ明確なメッセージを送るために、違反者にはより厳しい罰則が課されるべきであると確信している。
By Graham Green
(関連記事)海外競馬情報 2007年No.24「英国競馬界、48時間ルール続行に合意」
[Racing Post 2011年2月21日「Three trainers to be hit in crackdown on non-runners」]