2011年4月2日から、1日騎乗停止処分を科せられる騎手はどの日にその処分を受けるかを選ぶことができるようになる。この変更の推進者は3月6日、“これは騎手にとってだけではなく競馬のために良いことである”と述べている。
1日騎乗停止処分は引き続き、違反を犯した日から2週間以内に受けなければならないが、この変更によってG1競走での騎乗を予定している騎手に対しては既に適用されているように、賞金の高いハンデキャップ競走に騎乗することが可能になる。
BHA(英国競馬統轄機構)の競馬開催・規則担当理事であるジェイミー・スティア(Jamie Stier)氏は、「すでに実施してきたG1競走のための騎乗停止処分の繰り延べは少数の騎手たちだけに恩恵を与えていますが、大半の騎手にとってはあまり利益とはなっていません。したがって、この措置がすべての競走に対して適用されることは良いことでしょう」と語った。
そして次のように続けた。「このことは、フランキー・デットーリ(Frankie Dettori)騎手やライアン・ムーア(Ryan Moore)騎手にとってのG1競走と同様に、イギリス北部の一般の騎手にとって非常に重要な賞金1万5,000ポンド(約210万円)のハンデキャップ競走への騎乗機会を彼らが失わないようにすることを意味しています」。
「また新しいルールは、馬主、調教師および賭事客にとっても同じように重要であり、騎手が小さい違反行為のためにいつも手綱を取っている馬の騎乗機会を失わず、その関係を保ち続けることができることになります」。
しかしながらスティア氏は、1日騎乗停止処分は制裁加重ルールの下で累計されるので、それらは引き続き罰則効果を持ち、騎手が思い切ったことができないことを意味していると指摘した。
騎手協会(Professional Jockeys’ Association)の業界連携担当理事であるデール・ギブソン(Dale Gibson)氏は、この動きを“吉報だ”と歓迎し、「このことについて騎手は全員まったく肯定的であり、私たちはスティア氏の措置に感謝しています。1日騎乗停止処分は、非常に小さな違反であるのに重要な競馬開催日に騎乗停止処分がかち合ってしまうことがあるので、騎手にとって不満の種となる傾向にありました」と語った。
そして、「一般的に賞金の高い土曜日にはいろいろなことが起こって騎乗停止処分が下される傾向があるので、処分日を変えることができるという新しい事態がうまく機能してくれることを望んでいます」と付言した。
(関連記事)海外競馬情報 2009年No.19「制裁加重ルール改正、BHAと騎手協会がほぼ合意(イギリス)」
By Andrew Scutts
(1ポンド=約140円)
[Racing Post 2011年3月7日「Jockeys can choose one-day ban date」]