英国は、すべての競馬場の発走ゲートの番号付けをコースの内側からにすることによって、アイルランド以外の他の競馬国と足並みを揃えようとしている。
現在のところ、ゲートの番号付けはグランドスタンドから見て向かって右側から始められており、右回りコースか左回りコースかによって内枠の番号が必ずしも1番ではない形となっている。
発走ゲートの位置は変更されないが、枠順の有利不利を考慮していた賭事客は、11の競馬場のデータに関して確立していた考えを見直さなければならないだろう。
アスコット、ベヴァリー、カーライル、フォークストン、ケンプトン、レスター、マッセルバラ、リポンおよびサンダウンの各競馬場、そしてニューマーケット競馬場の2つのコースは右回りとなっており、またグッドウッド、ハミルトン、ソールズベリ、ウィンザー競馬場には左回りのコーナーがあるものの右回りとされている。
BHA(英国競馬統轄機構)の競馬開催・規定担当理事であるジェイミー・スティア(Jamie Stier)氏は次のように説明した。「私たちは疑わしい点のある競馬場をほとんど検査しました」。
「たとえば、グッドウッド、ハミルトンおよびソールズベリ競馬場でのいくつかのレースは、直線コースに向かってのゲートの番号付けが逆向きになります。それらの競馬場はいずれも右回りのループを有しているので、そのように対応します」。
「8の字のウィンザー競馬場でも同様に番号付けが逆向きになりますが、コーナーのほとんどは右回りです」。
「ニューマーケットは2つのコースを有しており、他場とは異なります。ジュライコースはスタンドが馬場の右側にあり、ローリーマイルコースはスタンドが馬場の左側にあります」。
「いずれのコースも競走が白熱するカーブは右回りなので、ニューマーケットの両コースとも右回りとして扱われるでしょう」。
この変更は、ケンプトンパーク競馬場で2011年の初めから試行され、2011年の平地競走シーズンからは一般的になると期待されているが、これは競馬施行日のルールの一層の統一を検討しているIFHA(国際競馬統轄機関連盟)から発せされたものである。
南アフリカ競馬統轄機構(South Africa's National Horseracing Authority)のCEOロブ・デ・コック(Rob de Kock)氏が会長を務めているグループは、国境を越えたサイマルキャスト賭事およびコミングリング賭事プールの進展がこの提案の背景にあると捉えており、以前香港で働いていたスティア氏もこの考えを支持している。
スティア氏は、「私たちが海外の国々に英国のレースを放映しようとするのであれば、そして実際にますます増加していますが、またそれらの国々の人々に英国競馬を受け入れて欲しいのであれば、私たちは一般に認められている国際的慣行と同調することを考えなければなりません。統一性を持とうではありませんか」と語った。
同氏は次のように付け足した。「この変更は、米国からアスコット競馬場への遠征馬のような、海外からの出走馬を惹きつけるのにも役立つでしょう。そして米国の賭事客の興味を私たちの賭事プールに惹きつけることもできるでしょう」。
「賭事客と出走馬の関係者は経験を重ねれば、もし馬がアスコットのラウンドコースにおいて小さいゲート番号を引いたのであれば、それは内柵に近く、おそらく一般的に好ましい位置だと考えることができるでしょう」。
競馬場協会(Racecourse Association)の競馬場サービス担当理事であるきキャロライン・デイヴィーズ(Caroline Davies)氏は、「この提案は、特に全世界に英国競馬を放映するに当たって意味を成します」と語った。
調教師たちはこの提案を聞いて驚嘆した。ニューマーケットのデヴィッド・シムコック(David Simcock)調教師は、「これは信じ難いことです。もっとましなやり方ができないのでしょうか?この変更を行うことに意味はあるのでしょうか?私はその意味が分かりませんし、これまでのままにしておくべきです」と語った。
シムコック調教師の仲間であるロバート・コーウェル(Robert Cowell)調教師は、「最終的にこのことは私たちに何の違いももたらしませんが、人々が頭をひねらなければならないことになるでしょう。私はこの変更を行う意味も分かりませんし、必要性も分かりません」と付言した。
By Howard Wright
[Racing Post 2010年12月3日「Stalls in Britain to be numbered from the inside」]