英国とアイルランドは2011年、世界全体で68レースのブリーダーズカップチャレンジレース(BCチャレンジ)のうち9レースを施行する。これらのレースの優勝馬は、11月4日、5日にチャーチルダウンズ競馬場で開催されるブリーダーズカップへの出走権が保証される。
ブリーダーズカップ社(Breeders’ Cup Ltd.: BCL)は、さらに、奨励策として今年初めてBCチャレンジ優勝馬のブリーダーズカップへの登録料も負担する。一方北米以外から遠征してくる“勝てば参加できる”条件のレースの優勝馬の関係者には、2万ドル(約180万円)の遠征旅費が提供される。
6月24日にアスコット競馬場で開催されるキングジョージ6世&クイーンエリザベスSは英国で施行される5つのBCチャレンジの最初のレースで、その他のBCチャレンジは、ヨーク競馬場のナンソープS、ニューマーケット競馬場のフィリーズマイルとデューハーストS、そしてアスコット競馬場のクイーンエリザベス2世Sである。
アスコット競馬場の広報担当理事であるニック・スミス(Nick Smith)氏は、「アスコット競馬場で施行される賞金100万ポンド(約1億4,000万円)の2レースはいずれも、混合戦で距離的にも英国のレースの中で最も重要で価値があり、ブリーダーズカップとはごく自然なパートナーとなるレースです」と語った。
一方アイルランドは4つのBCチャレンジを施行する。カラ競馬場のプリティーポリーS、モイグレアスタッドS、ヴィンセントオブライエン・ナショナルS、そしてレパーズタウン競馬場のチャンピオンSの優勝馬は、ブリーダーズカップの指定レースへの出走権を得ることができる。
またフランスの5つのBCチャレンジは、サンクルー大賞、ジャックルマロワ賞、ニエル賞、オペラ賞そしてジャンリュックラガルデール賞。
カナダ、アルゼンチン、オーストラリアおよび日本においてもBCチャレンジが施行され、北米以外で開催されるBCチャレンジは合計18レースである。
BCLの競走・登録委員会委員長のクレム・マーフィー(Clem Murphy)は、「私たちは、レースの質を向上させ、関係者に参加を促す奨励策を手厚くすることでBCチャレンジを強化しました」と語った。
そして次のように付言した。「これらすべての要素が夏から秋にかけてブリーダーズカップへの意識を高めるのに寄与し、世界中からの最高の競走馬の出走を促進するでしょう」。
ホースレーシングアイルランド(Horse Racing Ireland: HRI)の競走担当理事であるジェイソン・モリス(Jason Morris)氏は、HRIとしてはアイルランドの4つのレースがBCチャレンジに選ばれたことについて満足していると述べ、「アイリッシュチャンピオンS、プリティーポリーS、ナショナルSおよびモイグレアスタッドSが相応するカテゴリーにおいて世界屈指のレースであるというのは、正当な評価です」と語った。
“勝てば参加できる”というコンセプトは、自動的に出走権が海外の馬に与えられ遠征旅費が払われることになり、米国ホースマンの中にはこれを批判する人がいたために、設立時に論争となっていた。
英国とアイルランドにおけるBCチャレンジレース | ||
日程 | レース名 | 出走が承認されるレース |
6月25日 | プリティーポリーS | BCフィリー&メアターフ |
7月24日 | キングジョージ6世&クイーンエリザベスS | BCターフ |
8月19日 | ナンソープS | BCターフスプリント |
8月28日 | モイグレアスタッドS | BCジュヴェナイルフィリーズターフ |
9月3日 | アイリッシュチャンピオンS | BCターフ |
9月10日 | ナショナルS | BCジュヴェイナイルターフ |
9月23日 | フィリーズマイル | BCジュヴェナイルフィリーズターフ |
10月8日 | デューハーストS | BCジュヴェナイルターフ |
10月15日 | クイーンエリザベス2世S | BCマイル |
By Johnny Ward
(1ドル=約90円、1ポンド=約140円)
[Racing Post 2011年4月22日「Britain and Ireland to host nine Breeders’ Cup qualifying races」]