海外競馬ニュース 2011年08月25日 - No.34 - 3
一流マイラーのキャンフォードクリフス、引退して種牡馬入り(イギリス)[その他]

 キャンフォードクリフス(Canford Cliffs)は、7月27日のグッドウッド競馬場で施行されたサセックスS(G1)において、ホームストレッチでフランケル(Frankel)を追跡した際に生じた肢の故障で引退し種牡馬入りした。

 スターマイラーである同馬は、グッドウッド競馬場で前肢の繋の近位部に故障を発症し、獣医師の助言により引退した。

 7月27日に5馬身差で敗れる前はG1を5連勝していたリチャード・ハノン(Richard Hannon)調教師管理の4歳馬キャンフォードクリフスは、馬主のロビン・ヘッファー(Robin Heffer)氏が2010年末に同馬の所有権の半分をマイケル・テイバー(Michael Tabor)氏とデリック・スミス(Derrick Smith)氏に売却したことから、2012年はクールモア牧場に繋養されるだろう。

 ハノン調教師は、「キャンフォードクリフスは、2歳のときに抜群のスピードを持ち、さらに3歳と4歳のときに適応距離を伸ばして素晴らしいマイラーとなった、非常に珍しいタイプの競走馬でした。間違いなく、私の40年の調教生活において最高の馬です」と語った。

 そして次のように続けた。「キャンフォードクリフスが故障のために引退したことは、馬主および同馬の調教場であったイーストエヴァーリー厩舎(East Everleigh)にいる私たちすべてにとってひどくがっかりさせられることですが、少なくともなぜグッドウッド競馬場でひどく外側にヨレたのかがわかりました。フランケルにもう一度挑むことを私たちは非常に楽しみにしていました」。

 キャンフォードクリフスは2歳のとき、エクステンション(Xtension)を6馬身差で打ち負かし、現代で最も印象に残るコヴェントリーS(G2)勝馬となった。同馬はその年を118ポンドの公式レーティングを得て終えたが、3歳の時の初めの2戦においては抑えられ過ぎてチャンスを逃していた。その中にはマクフィ(Makfi)の3着に敗れたニューマーケット競馬場での英2000ギニー(G1)が含まれている。

 リチャード・ヒューズ(Richard Hughes)騎手が最後の瞬発力発揮のためにエネルギーを温存する戦術を教え込むと、同馬は愛2000ギニーを楽勝し、セントジェームズパレスS(G1)を同厩馬ディックターピン(Dick Turpin)を打ち負かして優勝し、サセックスS(G1)を2009年の勝馬リップヴァンウィンクル(Rip Van Winkle)に先着して優勝した。

 ハノン調教師もヒューズ騎手も、キャンフォードクリフスは今まで関わった馬のなかで最も洗練された馬であったと断言した。同馬の11戦すべてに騎乗したヒューズ騎手は、同馬を“今まで騎乗した中で最高で最速の馬”と表現した。

 今シーズンの初戦であるニューベリ競馬場のロッキンジS(G1)を勝利で飾った後、キャンフォードクリフスはロイヤルアスコット開催のクイーンアンS(G1)で、傑出した牝馬ゴルディゴヴァ(Goldikova)を打ち負かしたことで、ずば抜けたマイラーであることを証明した。

 ハノン調教師の陣営は、3歳馬フランケルとグッドウッド競馬場で接戦を演じることを期待していたが、道中いつものようにリラックスできず、終盤に大きく外にヨレ始めたときにはすでにトラブルに陥り、明らかに同馬に何か問題が生じた様子を示していた。

 ハノン調教師は自身のウェブサイトにおいて、「スキャンを撮ったところ、キャンフォードクリフスの繋に影があることが明らかになりました。もし走らせ続けたとしたら、それは深刻な事態となっていたでしょう」と語った。

 そして次のように付言した。「キャンフォードクリフスは、リスクを冒すにはもったいない馬なので、深刻な事態になるのは何が何でも嫌でした。そこで問題が悪化する前に引退させることを決定しました」。

「私はグッドウッド競馬場でのキャンフォードクリフスはいつもの状態ではないと分かっていました。そして少なくとも今では、私たちは大きく外側へヨレた理由を分かっています。フランケルはスーパースターかもしれませんが、私たちはアスコット競馬場で施行されるクイーンエリザベス2世S(G1)でフランケルに挑戦することを楽しみにしていました」。

「もしこの馬が通常のコンディションであれば、フランケルに打ち負かされることはなかったでしょう。キャンフォードクリフスは私たちのためによく走ってくれました。彼が居なくなり私たちは皆寂しがっていますが、私たちには思い出があり映像もあります。そして彼の産駒がそれほど遠くない将来この地に戻って来ることを期待しています」。

 キャンフォードクリフスを1歳馬の時に購買したサラブレッド仲介者のピーター・ドイル(Peter Doyle)氏は、「キャンフォードクリフスの素質は歴然としていました。1歳馬として異彩を放っていました。戦車のように頑丈で、気品のある歩き方をし、風格がありました」と語った。

By Graham Dench

[Racing Post 2011年8月4日「Brilliant miler Canford Cliffs retired to stud」]