海外競馬ニュース 2011年09月22日 - No.38 - 1
英国厩務員協会、処分を受けた調教師の厩舎スタッフを援助(イギリス)[その他]

 英国厩務員協会(National Association of Stable Staff:NASS)は8月12日、ハワード・ジョンソン(Howard Johnson)調教師が4年間の調教停止処分を受けたため、失業する同調教師の厩舎スタッフを援助するために動き始めた。(訳注:ダラム州拠点のジョンソン調教師は、馬に神経切断の手術を受けさせた上に禁止薬物を投与したことで、BHAにより上述の厳罰を科された)。

 ジョンソン厩舎は英国最大の障害競走の厩舎の1つであり、冬の間には30人以上の常勤スタッフを雇用している。しかし障害競走がオフシーズンである今の時期は従業員が減っており、すでに他の厩舎に移動したスタッフもいる一方、まだ同厩舎に留まっているスタッフは今後どこから収入を得るのか分からないという厳しい現実に直面している。

 NASSのCEOジム・コーネリアス(Jim Cornelius)氏は、「NASSの地域コーディネーターの1人であるデヴィッド・ホランド(David Holland)氏が、この件に緊急に対処することになっています」と語った。

 そして次のように続けた。「一番重要なことは、厩舎スタッフが雇用の権利を保護されるようにすることです。私たちはジョンソン調教師や厩舎の関係者、そして私たちの援助を必要としている厩舎スタッフと連絡を取る予定です」。

 コーネリアス氏は、NASSがこれらの厩舎スタッフに新しい就職口の斡旋はできないことを認め、次のように説明した。「現状では、調教師からどこに欠員があるか助言を貰うことができません。欠員状況を制度的に把握するようなことを思い描いてきたところですが、いくつかの厩舎におけるスタッフの入れ替わりがあまりに急なので、難しい問題です」。

「今回のケースで私たちは、厩舎スタッフの雇用の権利を保護するとともに問題を抱えている人々にアドバイスを与えることに特に力を注ぐつもりです」。

 国際的な馬の慈善団体は、ジョンソン調教師の起こした騒動が動物の権利保護を求める運動家を刺激しかねないという懸念の中、同調教師に業務停止処分が科されたことを歓迎した。

 世界馬福祉協会(World Horse Welfare)のCEOロリー・オワーズ(Rory Owers)氏は、「ジョンソン調教師に科された厳罰は、罪の重大さに釣り合っている」と表現し、「今回のケースは競馬に携わるすべての人々に、何が何でも競走に勝つことではなく馬の福祉が最優先であるという明確なメッセージを送るはずです」と付け足した。

By Graham Green

[Racing Post 2011年8月13日「Nass on hand to assist stable staff left without employment」]