リヴァプールを拠点とし“MATT”という横断幕を出して15年間競馬場場内で店舗を経営してきたブックメーカーのマシュー・トンプソン(Matthew Thompson)氏は、以前厩舎スタッフとして働いていたミック・イースタービー(Mick Easterby)厩舎とビル・ムーア(Bill Moore)厩舎の管理馬が負けるほうに賭けたことで、BHA(英国競馬統轄機構)から18ヵ月間の営業停止処分を受け、自身の30店舗を売却する予定である。
また同氏には、1,500ポンド(約19万5,000円)の過怠金も課された。
トンプソン氏は、8月25日にBHAの懲戒委員会から審問を受けた後すぐに米国へ旅立った。同氏のスポークスウーマンは8月26日、異議申立てを検討中であると述べた。
41歳のトンプソン氏は、かつてイースタービー調教師とムーア調教師の管理馬が2つの競走(2007年バンガー競馬場、2008年ニューキャッスル競馬場)へ出走する際、その馬の追い切りに騎乗していた。トンプソン氏はこの期間、これらの厩舎のスタッフとして登録されており、したがってこれらの厩舎の管理馬が負けるほうに賭けることは許されない。
トンプソン氏は審問において、34頭の馬が負けるほうに賭けたことを認めた。そのうち4頭以外の馬はすべてイースタービー調教師の管理馬であった。また同氏の2009年3月19日〜7月8日の電話通話記録のうち79日分の特定の記録が削除されていたため過怠金が課された。しかし同氏は審問において顧客の秘密情報を守るために情報を削除したと主張した。
トンプソン氏は自身のブックメーカー業の助手であるジェニー・ウッドクロフト(Jenny Woodcroft)氏を今回の件についてのスポークスウーマンに指名した。ウッドクロフト氏は、「トンプソン氏は審問の終了後すぐに米国に発ち、同氏のパートナーの娘が化学療法を受けるため、7週間米国に滞在します。同氏はBHAの処罰が厳格過ぎると感じており、異議申立てを検討するかもしれません」と語った。
ウッドクロフト氏は、トンプソン氏のブックメーカー業はパース競馬場からグッドウッド競馬場まで30店舗を有しているが、それらは売却されるだろうと述べた。
そして次のように続けた。「18ヵ月もの営業停止処分は長すぎますので、ブックメーカー業を続行できません。トンプソン氏のスタッフのうち私を含む3名は解雇されるでしょう」。
「トンプソン氏はこれらの馬が負けるほうに賭けて、764ポンド(約9万9,320円)を失いました。これらの馬は、同氏が1年間に負けるほうに賭ける馬の1%以下にしかすぎません」。
BHAは声明において、この違反に関係する買収行為はなかったが、15年間場内ブックメーカーとして活動し馬主の時期もあったトンプソン氏は、負けるほうに賭けることに関するルールを熟知しておくべきであったと述べた。
そして、同氏が2回にわたり競馬ルールを遵守することに同意したうえで、厩舎スタッフとして登録を行っていたと付け加えた。
By Rodney Masters
(1ポンド=約130円)
[Racing Post 2011年8月27日「On-course bookies disqualified after laying horses while stable employee」]