BHA(英国競馬統轄機構)とウィリアムヒル社(William Hill)は、ベッティング・エクスチェンジを利用する顧客に賦課金を課さないとする競馬賭事賦課公社(Levy Board: 賦課公社)の決定の司法審査を開始するために手を結んだ。
長期にわたり、また費用もかかる協議の後、賦課公社は6月の会合においてベッティング・エクスチェンジ利用客は賦課金を課されるブックメーカーと同様に分類されないとする法律的助言を過半数以上で支持した。
第2の提案、つまり事業目的にベッティング・エクスチェンジを利用していると考えられる賭事客に賦課金支払いを強制することは、キャスティングボートを握った賦課公社のポール・リー(Paul Lee)会長の投票により覆された。
後者の決定はとりわけBHAのポール・ロイ(Paul Roy)会長を失望させ、同会長と一貫してベッティング・エクスチェンジに反対しているウィリアムヒル社のCEOラルフ・トッピング(Ralph Topping)氏は私的な会合の後、司法審査を通じてこの課題に取り組むことを決定した。この事例は2012年の第1四半期に審査される予定である。
トッピング氏は、「私たちは常にベッティング・エクスチェンジの大口顧客を観察したうえで、この事例を法廷に持ち込むことにしました。これは法的主張であり、感情的な主張ではありません。そしてBHAがこれに関与したことに非常に満足しています」と語った。
更なる経費が生ずる問題について質問されたトッピング氏は、「人生には自分がしなければならないことを実行するいくつかの瞬間があります。もし理屈に適った提案を受ければ、費用に縛られることはないでしょう」と付言した。
ベットフェア社の上席法規担当部長であるマーティン・クラッダス(Martin Cruddace)氏はこの行為を“全く不毛”と述べ、「賞金の予算が渇望されている現状において、法的手段は裕福な弁護士をさらに裕福にする以外に何の役にも立ちません。弁護士経費は軽く100万ポンド(約1億3,000万円)に到達するでしょう」と語った。
同氏は次のように続けた。「ベットフェア社にダメージを与える目的で競争相手の1社と親しくするBHAは、明らかに分別を欠いています」。
「このことはまた、競馬は過去にこだわらず将来に目を向けるべきだと考える競馬産業の大半の人々と、BHAの会長が全く足並みを揃えていないことを示しています」。
By Howard Wright
(1ポンド=約130円)
(関連記事)海外競馬情報 2011年No.8「ベッティング・エクスチェンジ利用客は賦課金支払義務なしとの法的見解(イギリス)」
[Racing Post 2011年9月9日「BHA joins forces with Hills in bid to impose exchange levy」]