アイルランドの競馬産業におけるリーダーたちは9月21日、主要な平地競走開催における乏しい入場者数の背景にある問題に早急に対処する必要性について話し合った。
入場者数の上位7位までの競馬開催で平地・障害混合開催と障害開催がほとんどを占めている中、平地開催としては愛ダービー(G1)開催日だけが5ケタの観客を集めている。しかし愛ダービー開催日の入場者数でさえも大幅に減少している。2003年にはその入場者数はクラシック競走で最高の3万1,136人であったが、2011年はそれよりほぼ1万人少なかった。
ガー・ライアンズ(Ger Lyons)調教師は、多くの主要な平地競走開催は競争性に乏しいため観客にとって退屈であり、また多くの競馬場は適切な顧客対応をしていないと確信している。
同調教師は、「私はクールモアを非難しているわけではありませんし、私がその立場であってもきっと同じことをするでしょう。しかし、ごく少ない頭数でしかもそのほとんど同じ厩舎の馬が出走するG1競走は、退屈で予想通り過ぎると感じさせ、大衆の興味を失わせます。このため議論の余地なしにアイルランド人のほとんどは障害競走の方を好みます」と語った。
そして次のように続けた。「平地競走の魅力を高めるためにやることはまだたくさんあります。タイプの異なる競馬番組が必要です。大半の平地・障害混合開催を削減し、平地競走に適した競馬場では平地競走を開催しましょう。そしてビッグレースへの登録を早く締め切ることはやめることとし、これらを2年後ではなく今すぐに実行しましょう。平地競走を特別なものとし、安売りしてはいけません」。
「競馬場は自らを見つめなおす必要があります。競馬場の姿勢は、数年前にテレビ放映権収入を得るようになってから変わりました。彼らは傍観し、賭事客を丁寧にもてなさなくなりました。最近カラ競馬場に娘を連れて行ったときに、スープ、ソフトドリンク、1皿のフライドポテトで10ポンド(約1,300円)近くもしましたが、どうかしています。私たちは素晴らしい競馬を開催していますが、顧客へのサービスは絶対に改善する必要があります」。
またジョニー・ムルタ(Johnny Murtagh)騎手は、競馬場の顧客サービスについてライアンズ調教師と全く同意見を語った。
「人々は競馬場では快適に過ごしたいと考えているので、アイルランドのトップレベルの競馬場は改修される必要があります。私は先週の金曜日にダウンロイヤル競馬場に行きましたが、観衆が最新の施設の中で楽しんでいるのを見て驚きました。これこそすべての競馬場が必要としている“あるべき姿”です」。
またムルタ騎手は、平地競走は障害競走と比較して他のスポーツとのより厳しい競争にさらされていると強調した。
そして次のように付け足した。「大きな平地開催が行われる夏と秋の初めに、他のスポーツとの激しい競合があります。先週の日曜日を例にとりましょう。私はサッカーの全アイルランド・マイナーリーグの決勝戦の後にセルティックとレンジャーズの試合を見ました。そして、リヴァプールとスパーズの試合を少し見て、その後ゲーリックフットボールのダブリン対ケリーの決勝戦の放映時間となりました。この日はスポーツイベント満載の一日であり、平地競走が直面しているのはこのようなさまざまなスポーツとの衝突です」。
この問題はホースレーシングアイルランド(Horse Racing Ireland)も認識しており、HRIの販売・コミュニケーション担当理事であるマイケル・オローク(Michael O’Rourke)氏は、平地競走が大衆の関心を惹きつけていないこと認めた。
同氏は次のように語った。「私は主要な平地開催を過去のように再構築しなければならないと考えています。私たちが競馬に対する興味を高めるために活用できるレースは、愛ダービーと愛チャンピオンSの2つです。」。
しかしオローク氏は、「この2つのレースが行われるレパーズタウン競馬場もカラ競馬場も施設が古くなっており、近代化する必要があります。カラ競馬場はクラシック競走の本拠地でありアイルランド平地競馬の舞台ですが、古さを感じさせており、レパーズタウン競馬場も同様です」と付言した。
2011年アイルランドの競馬開催の入場者数 | |||
開催 | 開催地 | 開催日 | 入場者数 |
ゴールウェイ・フェスティバル | ゴールウェイ競馬場 | 7月28日(木) | 4万2,789人 |
リストーウェル・フェスティバル | リストーウェル競馬場 | 9月14日(水) | 2万6,572人 |
ゴールウェイ・フェスティバル | ゴールウェイ競馬場 | 7月29日(金) | 2万5,240人 |
パンチェスタウン・フェスティバル | パンチェスタウン競馬場 | 5月6日(金) | 2万5,186人 |
リストーウェル・フェスティバル | リストーウェル競馬場 | 9月16日(金) | 2万4,605人 |
パンチェスタウン・フェスティバル | パンチェスタウン競馬場 | 5月7日(土) | 2万3,371人 |
愛ダービーデー | カラ競馬場 | 6月26日(日) | 2万1,768人 |
By Tony O’Hehir
[Racing Post 2011年9月22日「Concern at crowd figures for Ireland’s major Flat fixtures」]