海外競馬ニュース 2011年11月09日 - No.45 - 2
パリの賭事・競馬フォーラムでモバイル機器の進歩が大きな話題に(欧州)[開催・運営]

 9月30日にパリで開催された欧州で最も重要な賭事・競馬ビジネス・フォーラムにおいて、賭事の動きの変化に素早くアクセスできる新技術の重要性が強調された。

 欧州パリミューチュエル協会(European Pari-Mutuel Association)により組織され、初めて競馬統轄機関の代表者たちも出席した第4回目の凱旋門賞前イベントには、27ヵ国から140人の代表が集まった。

 PMU(フランス場外馬券発売公社)のオンライン賭事を担当しているパディパワー社(Paddy Power)の商業開発マネージャーであるスティーブン・ラヴェル(Stephen Lovell)氏は、同社が受け付けている賭事の40%はモバイル機器を通じたものであったことを明らかにした。

 同氏はまた、この成長の原動力は、2010年に初めてノート型パソコンの売上げを凌駕したスマートフォンとタブレットの好調な売行きであったと語った。

 そして、「ソーシャルメディアネットワークはもう1つのサクセスストーリーです。ツイッターは5年の間に会員登録数がゼロから2億に膨れ上がりました」と付け足した。

 ラドブロークス社(Ladbrokes)、スポーティングベット社(Sporting Bet)およびトート社(Tote)にモバイル機器のプラットフォームを提供している、ロンドン拠点のムフューズ社(Mfuse)のアンドリュー・ペグラー(Andrew Pegler)氏は、短期で見てもモバイル機器を通じた賭事のインパクトが大きかったことを強調した。

 同氏は、ラドブロークス社のために開発され、7日間にわたり開設されたグランドナショナル向けの特別オンライン申込み窓口は1日に6万5,000件の賭事を惹きつけ、通常の1日当たりの賭事規模の40%増となったと述べた。

 ツイッターの進歩とフェイスブックなどの販路は、ロンドンとグラスゴーを拠点とするソーシャルメディア会社のヨメゴ(Yomego)のリサーチマネージャーであるカースティー・ベル(Kirsty Bell)氏によって初めて利用された。

 同氏は英国の5つの大手賭事会社が関係するソーシャルネットワーク上のやりとりを観察した上で、賭事会社はまだ活用しきれていないが、ソーシャルネットワークを活用した賭事の販売促進には規制や倫理上の複雑さがあるものの活用できるチャンスはあると結論づけた。

 そして、「とりわけ女性の賭事客を惹きつける可能性があります。なぜなら、女性たちは出会いを求めてインターネットを利用するので、無料賭事に惹きつけられるがすぐに離れてしまう人々とは違い1回だけの参加者とはならないでしょう」と語った。

 またPMUのCEOであるフィリップ・ジェルモン(Phillipe Germond)氏は、競馬賭事を豊富に提供している賭事業者にとっては特に新規顧客を惹きつけるためのアイデアの採用が必要であることを強調した。

 同氏は、「世界は急速に変化しており、競馬と賭事を演出する方法の若返りを図らなければ、将来困難な状況に陥るでしょう」と語った。

 ジェルモン氏はPMUの顧客層について調査した結果、悲観的予測をするに至った。

 そして次のように語った。「競馬賭事を行っている顧客の大半の年齢層は、55歳以上の層なのです」。

「もしこのことに対処しなければ、7年後からはPMUの競馬賭事の売上げは毎年5%減少するでしょう」。

「これは賭事業者と競馬施行者にとって共通の問題としなければなりません」。

「2つの業界は、例えば騎手対象のマッチベットのような新しいアイデアを導入しなければなりません。なぜなら、人気選手なしでスポーツの人気が上がることはないからです」。

「あるいはパソコンゲームに親しんでいる若い人々のために本物のレースを使ってネットワーク上に提供するために追跡装置を使うやり方もあるでしょう」。

 欧州パリミューチュエル協会のフォーラムでのプレゼンは、インターネット上(epma-forum.net)で視聴可能である。

By Howard Wright

[Racing Post 2011年10月4日「Gaming forum in Paris highlights mobile advances」]