海外競馬ニュース 2011年11月24日 - No.47 - 1
スター馬が続々と欧州に転厩する可能性(オーストラリア)[その他]

 オーストラリアの競馬コミュニティーは、2012年の競馬シーズンに向けて数頭の3歳優良馬がソーユーシンク(So You Think)と同じく欧州への道を辿り、流出してしまうことに対して心の準備をしている。

 オーストラリアの新聞は、ダーレーの傑出した3歳馬であるセポイ(Sepoy)とヘルメット(Helmet)の2頭がゴドルフィンに合流し、一方クールモア牧場(Coolmore)のスター3歳牝馬であるアトランティックジュエル(Atlantic Jewel)がバリードイル厩舎(Ballydoyle)に転厩するかもしれないと伝えている。

 卓越したスプリンターであるセポイは昨シーズン、シドニーのローズヒルガーデンズ競馬場で施行されたゴールデンスリッパーSと、メルボルンのコーフィールド競馬場で施行されたブルーダイヤモンドS(G1)に優勝し、オーストラリアの最優秀2歳馬となった。同馬は、フレミントン競馬場の10月29日のヴィクトリアダービー開催日に施行されるクールモアスタッドS(G1)を制して11戦10勝の記録を打ち立てようとしている(訳注:見事に優勝を果たした)。

 最終決定はされていないが、セポイおよび10月22日のコックスプレートにおいて1番人気で8着に敗れたものの現在G1競走3勝のヘルメットは、冬のドバイの競馬シーズン時あるいはシドニーの秋開催で使った後、ゴドルフィンに転厩すると見られている。

 英国競馬界はフランケル(Frankel)とブラックキャビア(Black Caviar)のマッチレースを夢見ているが、オーストラリア人たちはセポイが国民最愛の馬ブラックキャビアに降参するのを見たがっている。しかし、この対決は2012年のロイヤルアスコット開催まで待たねばならないようだ。


 以前ゴドルフィンの専属騎手であった、現在オーストラリアでセポイに騎乗しているケリン・マケヴォイ(Kerrin McEvoy)騎手は、セポイが欧州で成功するだろうと見ている。

 同騎手は、「セポイのような優良馬は欧州ですぐに頭角を現すでしょうが、ブラックキャビアはオーストラリアを代表するスター馬です。両馬が2012年にロイヤルアスコットで対決することを望んでいます。私はどうしても彼らのレースを見たいものです」と語った。

 クールモア牧場の青い勝負服を背にしているアトランティックジュエルは4戦4勝を誇り、10月29日のウェイクフルS(G2)と11月3日のクラウンオークス(G1)のいずれでも一番人気となっている(訳注:ウェイクフルSには優勝し、その後怪我のためクラウンオークスは回避)。

 アトランティックジュエルは、コーフィールド競馬場で施行された1000ギニー競走でマイケル・ロッド(Michael Rodd)騎乗で素晴らしい勝利を遂げた。同騎手は同馬がアイルランドに転厩すると見ている。

 同騎手は、「アトランティックジュエルは来年のこの時期にはここにはいないでしょう。必ず海外に出ていくことになると思います」と述べた後、同馬の長所を褒め称えた。

「彼女を見ると、まったく特別であることが分かります。彼女に騎乗した時のような感覚を今まで味わったことがありません。どんな素晴らしい馬にもなれますし、どこまでも成長していくでしょう。今まで乗った馬の中で、おそらく一番です」。

 クールモア牧場はオーストラリア出身のソーユーシンクとハラダサン(Haradasun)で欧州のG1競走を制したが、アトランティックジュエルの欧州への転厩に関する推測については控えめに扱った。

 クールモア牧場のリーダーであるジョン・マグニア(John Magnier)氏の息子であるレーシングマネージャーのトム・マグニア氏は、アトランティックジュエルを非常に動きが良いと言い表した。

 同氏は次のように続けた。「私たちは現時点ではオークス後のことについては何も話し合ってはいません。最終的には父の決断次第ですが、マーク・カヴァナー(Mark Kavanagh)調教師はここで彼女を素晴らしい馬に仕上げました。しかし牝馬の今後の扱いについては牡馬の場合とは少し違ってきます」。

 オーストラリアのクールモア牧場のマネージャーであるマイケル・カーワン(Michael Kirwan)氏は、「私たちは現在のところ彼女を海外に連れて行く計画はありません」と付言した。

By Nicholas Godfrey

[Racing Post 2011年10月27日「Australian stars could make European switch」]