ケンタッキー州議会調査委員会が11月10日に発表した経済調査によれば、同州のサラブレッド生産は1万7,600人分の雇用創出と15億8,000ドル(約1,264億円)の支出に相当する。
ケンタッキー州のサラブレッド生産業とこれを支援する同州のプログラムを分析したこの調査によって、2010年に競馬産業は1万800人分の直接雇用と9億1,200万ドル(約729億6,000万円)の支出を産み出していることが明らかになった。そしてさらに、商品やサービスを提供する付随部門への6,900人分の雇用創出および他のケンタッキーのビジネスにおける6億7,300万ドル(約538億4,000万円)の支出をもたらした。
2010年にサラブレッド生産業の直接収入は1億6,790万ドル(約134億3,200万円)、総収入は3億5,270万ドル(約282億1,600万円)と見積もられる。
ケンタッキー州と全米において経済は縮小傾向となっているにも拘わらず、ケンタッキー州は全米のサラブレッド生産市場においてシェアを拡大している。
ケンタッキー州の市場シェアは、 サラブレッド生産業において2位以下の9州の市場シェアの合計とほぼ同規模であるとされている。ただこの調査には、最も大幅な成長を果たしているオンタリオ州などカナダの州は含まれていない。
この調査はまた、ケンタッキー州の生産プログラムと、6つの競合する州、つまりフロリダ州、インディアナ州、ルイジアナ州、ニューヨーク州、ペンシルヴァニア州およびウエストヴァージニア州と比較している。これら6つの州はいずれもケンタッキー州に近く、競馬場におけるゲーミングの拡大が見られる。
これらの6州は市場において、1991年から2010年までで11%成長している一方、ケンタッキー州の市場シェアは同じ時期において30%成長した。
しかしながらこの調査では、ニューヨーク州のアケダクト競馬場で近頃開設され、州のサラブレッド生産の奨励プログラムを顕著に充実させたリゾートワールドカジノ(Resorts World Casino)の潜在的な効果は考慮されていない。そしてゲーミング部門が拡大されなければ、ケンタッキー州の生産プログラムは、種付料に対する売上げ税とわずかなパリミューチュエル賭事税によってしか支援されないことになる。
サラブレッドの馬主でもあるケンタッキー州議会下院議員のデヴィッド・オズボーン(David Osborne 共和党)氏は、レキシントンのヘラルドリーダー紙に対して、このようなデータは非常に重要であると述べ、今後2年間におけるケンタッキー州のサラブレッド産業の状況は大きく変化すると予測した。
オズボーン氏は、「産業を動かすのにどれぐらいの費用が必要でしょうか?私たちはそれを見出そうとしています。ケンタッキー州は奨励策において1頭の繁殖牝馬につき平均700ドル(約5万6,000円)を提供していますが、ニューヨーク州は1頭の繁殖牝馬につき平均2万ドル(約160万円)を提供しており、この数字が減少することはないでしょう。このことは、繁殖牝馬の州を越えての移動を検討させる十分な理由となります。」と語った。
ケンタッキー州の150のサラブレッド生産牧場を対象とした調査によると、平均369エーカー(147.6 ha)で59頭の馬を繋養している。また、60%以上の牧場ではスタッフの数は5人以下で、37.7%がフルタイムの従業員3人以下である。フルタイムの従業員数の平均は13人となっている。
この報告書は以下で閲覧可能である。
http://media.kentucky.com/smedia/2011/11/10/14/52/5ljr2.So.79.pdf
(1ドル=約80円)
[thoroughbredtimes.com 2011年11月11日「Study finds Kentucky breeding industry responsible for $1.58-billion in spending」]